大阪カジノ是非問う住民投票21万筆 府に条例制定を直接請求

大阪府と大阪市が進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致の是非を問う住民投票の実施を求め、署名を集めた「カジノの是非は府民が決める 住民投票をもとめる会」(もとめる会)が7月21日、吉村洋文知事に対し住民投票条例の制定を請求した。同月29日にも臨時府議会が開かれる見込みだ。(新聞うずみ火 栗原佳子)

直接請求には地方自治法の規定で有権者50分の1(6月末日現在14万6509)の署名が必要。もとめる会は3月下旬から2カ月間、府内全域で署名活動を展開、署名を集めることができる受任者は事務局が把握しているだけでも7729人。21万134筆が集まった。うち有効署名数19万2773筆。法定数を上回った。

軽トラックの荷台に積まれた市区町村ごとの署名簿=7月21日 大阪府庁前

知事は請求を受けてから20日以内に府議会を招集し、意見を付けた上で住民投票条例案を提出しなければならない。府議会は住民投票を実施するかどうかを審議する。

府議会で過半数を占める大阪維新の会はIR誘致の旗振り役。大阪維新の会代表でもある吉村知事は6月の会見で、IR整備計画が国で認可申請中であることなどを理由に「住民投票をする必要はない」などと発言。反対意見を付けると見られている。

21日は直接請求を前に府庁前に署名集めに奔走した大勢の府民が集合。軽トラックの荷台にピラミッドのように積み上げた市区町村ごとの署名簿を前、代表者がマイクリレー。「吉村知事は民意を尊重して住民投票で決着を」などとアピールした。

直接請求を前に、府庁前で「府民で決めよう」とアピール=7月21日 大阪市中央区

国は秋以降に結論を出すとみられるが、もし認可されれば撤回はほぼ不可能。もとめる会は、強い民意を示し、待ったをかける狙いだ。

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一方、大阪市民5人が5月、市に対し、土壌対策費の市負担は違法だとして事業者との定期借地契約の差し止めを求め住民監査を請求した。予定地の人工島・夢洲は土壌汚染や液状化の可能性があることから、市は事業者の求めに応じ昨年末、約790億円の負担を決定した。市民側は「市が事業者と締結した基本協定書では追加の対策費が生じた場合、市が負担する内容となっている」と指摘、「過大な支出を制限する地方財政法などに違反する」と主張した。

住民投票条例を訴える府民ら=7月21日 大阪市中央区

市監査委員は4人。「市負担は限定的。無制限に負担は増えない」などと棄却を求める意見、「市が無制限に費用を負担せざるをえなくなる」などと差し止めを勧告する意見とが折り合わず、「合議不調」となった。

市民側は7月中にも住民訴訟を起こす方針だ。

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