豚熱(CSF)の感染が確認された那須烏山市の大規模養豚場で、国内最多となる約5万4千頭の豚の殺処分が本格化し、県は25日正午時点で全体の4.5%に当たる2445頭を殺処分した。原因を探る疫学調査も始まり、国と県の職員が24日、現地入りした。
農水省や県によると、殺処分するのは同農場と関連する同市内の別の農場で飼育する豚。同じ生産者が経営しており、農場間で豚の移動があったという。
殺処分は23日夕に始まった。埋却の準備や、ウイルスを広めないよう関係車両用に設けられた消毒ポイントの運営など、防疫措置全体で延べ404人を動員した。県、市町の職員のほか、県警備業協会、県建設業協会、県バス協会も協力している。
昨年4月、豚熱が発生した那須塩原市内の農場で殺処分作業中に発生した事故を踏まえ、県は安全対策を改めて徹底。熱中症防止のため、作業時間を夜から翌朝にかけた時間帯に設定するなど対策も講じた。
疫学調査は農水省と県の6人体制で実施。消毒や野生鳥獣の侵入防止対策などを確認し、関係者の聞き取りも進めたという。
県は25日、影響を受ける事業者の資金繰りの相談窓口を開設した。24日には那須烏山市が対策本部(本部長・川俣純子(かわまたじゅんこ)市長)を設置し、防疫措置などに努めることを確認している。
県によると、発生農場から半径10キロ以内に22の農場があるが、県内農場ではワクチン接種をしているため、県は豚の移動や搬出を制限しない。いずれの農場も、25日正午時点で異常はないという。