高校野球 グッドルーザーの夏 ミラクル舞鶴の旋風を起こした野球愛

全国高校野球選手権大分大会

決勝 7月24日 別大興産スタジアム

大分舞鶴 000 003 000|3

明 豊 524 001 00×|12

昨年の全国高校野球選手権大分大会の決勝以降、県内主要大会でことあるごとに決勝で対戦した大分舞鶴と明豊の両校。大分舞鶴は、高く、厚い壁として立ちはだかる明豊を、今年の夏も越えることができなかった。河室聖司監督は「今日の試合に関してはパワーで上回られた」と、序盤に大量得点を奪われたことを悔やんだ。

今春のセンバツ甲子園に初出場し、自信を深めて大会に臨んだが、これまでチームを引っ張った投手陣はエース奥本翼(3年)が準々決勝以降、調子が上がらなかった。ただ、「夏の大会は打撃陣がカバーすれば勝てる」との監督の言葉に奮起した打線が、準々決勝、準決勝では土壇場の九回に2試合続けてサヨナラ勝ちするなど勝負強さを発揮し、「ミラクル舞鶴」の旋風を巻き起こした。

決勝では明豊を勢いで凌駕(りょうが)したかったが出はなをくじかれ、大きく点差を広げられた。六回にチーム3点目の適時打で意地を見せた4番でキャプテンの甲斐京司朗(3年)は、「ビッグイニングを作られても全員最後まで諦めなかった。悔いはない。やり切った」と気丈に振る舞ったが、同級生に感謝の言葉を紡ぎながら「3年のみんなと明日も明後日も練習をしたかった」と涙をこぼした。

準優勝の大分舞鶴

今大会、初戦から3試合ベンチスタートとなった田中洸太郎(3年)は、代打で結果を残し、準決勝から先発に名を連ねた。センバツ出場以降は練習後に父親とシャトル打ちで正確なミート力を高め、今大会に挑んだ。決勝では快音が響かなかったが、打率6割、6打点と数字を残した。「個人的には野球人生で一番調子が良く、チームに貢献できた」と力を出し切った。

今大会が募集した「三行詩」では、820作品の中から田中の「マスクをつけた3年間 それでも隠せなかった 野球愛」が最優秀賞に選ばれた。3年間の高校野球を「コロナ禍で思うように練習もできなかったことはあるが、野球が本当に好きな仲間に恵まれて楽しく過ごせた。決勝で負けたのは悔しいが、明豊は強かった」と振り返り、最高の仲間と一緒に、好敵手と試合ができたことに感謝した。後輩には「(明豊との)レベルの差はあるが、一つ一つ課題をつぶし、意識して練習に取り組めば追いつける」と、“夏の甲子園出場”の夢と野球愛を託した。

力を出し切り高校野球を終えた田中洸太郎

(柚野真也)

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