被爆の実相伝える写真40点 長崎・追悼平和祈念館 8月5日まで

被爆後の街の様子を伝える写真を見詰める来場者=国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 被爆の実相を伝える「被爆77年 ナガサキ原爆写真展」が25日、長崎市平野町の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で始まった。人工知能(AI)を活用してカラー化したきのこ雲の写真や被爆後の街の写真などを展示している。観覧無料。8月5日まで。
 長崎平和推進協会写真資料調査部会(松田斉部会長)が主催。「人」や「街」を捉えた写真を中心に約40点を展示している。
 同部会が提供し、東京大大学院の渡邉英徳教授らがAIなどを活用してカラー化したきのこ雲の写真は初公開。長崎への原爆攻撃に参加した米軍の2機のうちどちらかが撮影した写真で、発達途中のきのこ雲や長崎港などが写っている。
 被爆から1年5カ月後に原爆傷害調査委員会(ABCC)の研究者が調査の傍ら撮影したという写真には、松山町にあった飛行場のゲートや、浦上川沿いに立つバラック住宅が写されている。松田部会長は「この時期の写真は珍しく、復興の兆しがわかる興味深い資料」と説明する。
 大阪から旅行で訪れた伊川通子さん(63)は「被害の大きさに衝撃を受けた。戦争をしてはいけないという思いが強くなり、この事実を語り継がないといけないと感じる」と力を込めた。松田部会長は「今の長崎の街とのギャップを感じ、いかに被害が大きく、復興に努力したか思いをはせてほしい」と話した。


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