故山口仙二さんに「栄誉市民」 核廃絶運動に功績 長崎市が顕彰式

田上市長から、故山口仙二さんに対する栄誉市民証を受け取る(左から)美和さんと朱美さん=長崎市役所

 長崎原爆で被爆し、被爆者援護や核兵器廃絶運動を草創期からけん引した故山口仙二さん(2013年に82歳で死去)に対し、長崎市は19日、「栄誉市民」の称号を贈った。市役所であった顕彰式で長女野田朱美さん(62)は「世界の人が、被爆者のように核兵器や戦争で苦しむことを許さないと訴え続けた」と父の活動を振り返り、支えてくれた多くの人に感謝を語った。
 山口さんは14歳の時に爆心地から1.1キロで被爆。1956年の長崎原爆青年乙女の会、長崎原爆被災者協議会の結成に尽力し、日本原水爆被害者団体協議会の代表委員も務めた。82年の第2回国連軍縮特別総会では自身のケロイド写真を掲げ「ノーモア・ウォー、ノーモア・ヒバクシャ」と訴えた。
 顕彰式で田上富久市長は「リーダーとして活躍した功績の大きさをあらためて思う」とたたえ、ウクライナ危機などで「先が見えない時期だが今までの道を諦めず歩み続けようと、仙二さんから後押しをされていると感じる」と述べた。
 終了後の取材に朱美さんは「やってきたことが皆さんに認められたよ、と父に伝えたい」と喜び、次女横田美和さん(59)は「父も喜んでいると思う。一日一日と平和が続くように祈りたい」と願った。
 栄誉市民の称号は公共の福祉の増進や産業、経済、文化の発展などに顕著な功績がある人らに贈り、山口さんは13人目。被爆者では他に故谷口稜曄(すみてる)さんらに贈られている。


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