2022年上半期の上がった銘柄・下がった銘柄。上昇率1位の東京電力と2位三菱重工の共通点とは?

本当になんとしつこいウイルスなのでしょうか。一時は激減していた新型コロナウイルスの感染者数が足元で激増しており、7月21日の感染者数は18万人超と過去最多を更新してしまいました。今の所行動制限などは行われていませんが、もし行われることになれば小売業等の業績の重荷となりそうです。

感染者数が増えている一方で、日本株は堅調に推移しています。日経平均は7月13日から22日まで7日続伸して期間中の上げ幅は1,600円近くに達しています。もはや市場では新型コロナウイルスの感染者数はあまり材料視されず、米国の金融施策や世界的なインフレ進行の方に注目が集まっているようです。


2022年上半期に上がった株・下がった株は?

2022年もあっという間に半分が過ぎました。日本株を含めて世界の株式はどのように推移しているのでしょうか? そして今年上がっている株、下がっている株はどんな銘柄なのでしょうか? 以下の表をご覧ください。

残念ながら日経平均は昨年末比で-3.4%と下落しています。ただ、表の通り米国のダウ平均は-11.8%、ドイツのDAX指数は-16.6%ですから、それらに比べると相対的には良いパフォーマンスと言えそうです。日経平均が比較的堅調なのは、日銀が大規模金融緩和の継続に強い意志を表明していることや、円安進行による輸出企業の業績下支え期待があるとみられます。いずれにせよ英国のFTSE100を除き表のすべての国の株価指数が下落しており、今年は株式市場にとって苦しい1年を過ごしていると言えそうです。

中でも特に厳しい下げとなっているのがマザーズ指数の-27.7%、ナスダック総合指数の-22.9%です。両指数は米金利の上昇によりITを中心としたグロース株が敬遠される動きをもろに受けており、米金利が低下に向かわない限り本格反発は難しいかもしれません。

日経平均構成銘柄のうち今年の株価上昇率が大きい銘柄

では続いて皆様に馴染み深い日経平均採用銘柄の上半期のパフォーマンスを見ていきます。まず上昇率上位には東京電力ホールディングス(9501)、三菱重工業(7011)、日揮ホールディングス(1963)、IHI(7013)、フジクラ(5803)が並んでいます。昨年末と比べた騰落率は90.6%、87.7%、69.7%、54.1%、41.4%とそれぞれ大幅に上昇しています。

個別に要因を見ていくと、上昇率トップの東京電力ホールディングスについては猛暑に伴う電力利用が業績にプラスに寄与するとの期待、さらには電力不足が危機的状況になるなか、原子力発電所の再稼働可能性が高まるとの思惑から株価が大幅に上昇していると思われます。上昇率2位、3位、4位の三菱重工業、日揮ホールディングス、IHIのいずれも原子力発電所関連の技術を持っており、原子力発電所の新設や再稼働を予想する思惑が株価に反映されているのかもしれません。

日経平均構成銘柄のうち今年の株価下落率が大きい銘柄

続いては残念ながらパフォーマンスが冴えない下位20銘柄を見ていきます。下落率ワーストトップは楽天グループ(4755)の-43.7%でした。楽天グループは携帯事業の巨額の赤字が嫌気され、非常に大きく下落しています。また、上述した米金利の上昇でITを中心としたグロース企業が売られていることも要因の1つでしょう。その他の下落率が大きい銘柄を見ても、IT・半導体といったコロナ禍で株価が大きく上昇した銘柄の反動が目立っています。やはり今後の株価も米金利の動向がキーポイントになってきそうです。

肝心の下半期以降に期待できる銘柄ですが、コロナ次第で時期がブレる難しさがあるものの、筆者は継続して今年後半・来年はインバウンド(外国人観光客)関連が最も期待できると考えています。ホテル、ドラッグストア、鉄道、航空、観光、飲食などコロナ禍で非常に厳しかった各種業種が、いよいよ復活の時を迎えるのではないでしょうか。

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