ブラジル版の肉じゃが、まさに「おふくろの味」 福井県越前市の「アリーナ レストラン」で堪能

ブラジル風肉じゃが「カルネ・デ・パネーラ」(手前)と定番の豆料理「フェイジョン」

 のどかな住宅街にひっそりとたたずむブラジル料理店「アリーナ レストラン」(福井県越前市)。ガラス張りのドアを開けると、ラテン系の軽快な音楽が聞こえてきた。若い女性客が食事を楽しみ、その横を楽しそうに駆け回る子どもたち。若干“夜の匂い”がする店構え(※記者の個人的な印象)とはうらはらに、店内はアットホームな雰囲気に満ちていた。

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 店主のリベラト・モリ・シルバナさん(47)は2011年、ブラジル南部のマリンガ市から一家で来福した。前店主の後を継ぎ15年から同店を営む。娘のロレナさん(26)も会社勤めの傍ら店を手伝い、二人三脚で切り盛りしている。

 記者にとってブラジル料理は初体験。なんとなく「豆」のイメージはあるけれど、まったくもって未知数だ。そんな中、シルバナさんが「ぜひ食べてみて。ブラジルの肉じゃがよ」と作ってくれたのが「カルネ・デ・パネーラ」という1品。

 圧力鍋で煮込み一口大にカットした牛肉を、ジャガイモ、ニンジンなどと一緒にトマトソースで煮込んだもの。肉じゃがというより見た目・味ともにビーフシチューのよう。具材は口の中でほろほろと崩れるほど軟らかく、優しい味わい。特に子どもに人気のメニューとか。ブラジルの“おふくろの味”だ。

 もう1品は、豆の煮込み料理「フェイジョン」。3時間水に浸したインゲン豆を圧力鍋で20分煮込み、にんにく、塩などで味付けし、ご飯と一緒に食べる定番料理。思っていた「豆ゴロゴロ」という感じではなく、スープのよう。小さくカットしたベーコンを入れるのがシルバナさん流。コクがあるのにあっさりしていて、ご飯が進む進む。

 福井県内に暮らす約70カ国1万5284人の外国人のうち、最も多いのがブラジル人の4692人。そのうち3848人が越前市で生活している(21年12月現在)。歴史的にも深いつながりのあるブラジル人と日本人。「この店を、人種を越えた交流の場にしていきたいんです」と笑顔で話すシルバナさんとロレナさん。素朴であったかいブラジルの家庭料理、ぜひ一度味わってみては。

 ◇ARENA RESTAURANTE 福井県越前市北千福町121。営業時間は午前8時半~午後2時と午後6時~午前0時。月曜午前と日曜定休。日本語で書かれたメニュー表もある。電話0778-78-9204(※日本語を勉強中の店員が電話に出る場合があるが、その際は店員に自身の電話番号を伝え、折り返しを待つ)

ブラジル料理「パステル」の作り方

 パイ生地に具材を包み油でカリッと揚げた「パステル」。例えるならブラジル風春巻き。現地ではスナック感覚で食べられている。今回は店で人気の牛ひき肉とチーズ、ゆで卵を使った作り方を教えてもらった。

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