元F1ドライバーのダニール・クビアト、インディアナポリスでNASCARカップシリーズ初参戦へ

 長年レッドブル/トロロッソ、アルファタウリのドライバーとしてF1を戦い、フェラーリやアルピーヌでも開発兼リザーブを歴任したダニール・クビアトが、今週7月30~31日に“聖地”インディアナポリスで開催される2022年NASCARカップシリーズ第22戦『ベライゾン200・アット・ザ・ブリックヤード』で、自身初のストックカー・デビューを飾ることが発表された。

 急転直下、いきなり北米最高峰への挑戦を決めたクビアトは、インディアナポリスのロードコースでチーム・ヘイズバーグ・バイ・ローム・ブラザーズ・レーシングが用意する26号車のトヨタ・カムリをドライブし、チームのレギュラードライバーであるロリス・ヘゼマンズの27号車フォード・マスタングとともに聖地での週末に挑む。

「伝統のインディアナポリスでNASCARカップシリーズ・デビューを飾ることができて本当に光栄だし、とてもうれしいよ」と、まずは参戦の喜びを語ったクビアト。

「僕はつねに、アメリカのモータースポーツでトップフォームを占めるNASCARの動向をチェックしていたし、そこに情熱を注いで来た。NASCARは僕にとって純粋なモータースポーツであり、いつだって興味をそそられる存在であり続けてきたんだ」

 今回クビアトの起用を決めたチーム・ヘイズバーグは、今季2022年よりカップシリーズに昇格し、主にロードコースに焦点を当てて散発的なエントリーを続けてきた。そのうちヘゼマンズはシーズン序盤のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)とロードアメリカにエントリーし、さらに開幕戦のデイトナ500ではジャック・ヴィルヌーブを起用したことでも話題を集めた。

「この形態のモータースポーツで成功することを楽しみにしている。将来的にはレースでの勝利とチャンピオンシップを争うことを望んでいるんだ」と、F1出走110戦で3回の表彰台獲得経験を持つクビアト。

長年レッドブル/トロロッソ、アルファタウリのドライバーとしてF1を戦い、フェラーリやアルピーヌでも開発兼リザーブを歴任した
F1でのレースシートは、2020年シーズンのアルファタウリが最後となっている

■「挑戦を楽しみにしている」とクビアト

「NASCARや(チーム共同オーナーの)ジョシュ・ローム、そしてチーム・ヘイズバーグのメンバー全員に対し、この機会を与えてくれたことに感謝している。ワークショップのクルーたちは僕のこの機会のために、寝る間を惜しんでクルマのプリペアを進めてくれていた。インディアナポリスは初めてだけど、直接会えるのを楽しみにしているよ」と続けたクビアト。

「オンボード映像で見る限り、インディアナポリスは挑戦的なサーキットのようだ。NASCARカップシリーズに初参戦することと同時に、その挑戦を楽しみにしている」

 そのインディアナポリスは、前出のとおりチーム・ヘイズバーグにとって今季4度目のレースウイークとなるが、現地での2台体制も初の試みとなる。

「ダニールは非常に才能のあるドライバーであり、オープンホイールで驚くほどの経験を積んできた」と語るのは、チーム共同所有者であるジョシュ・ローム代表。

「私の見解では、NASCARこそダニールが最終的に到達するのに最適な場所だ。特に今季から導入されたNext-Gen車両では、レースでも多くのスタイルを許容する機能を備えている。彼のNASCARへの移行に際し、できる限り支援しサポートすることを楽しみにしている」

 そのクビアトは、本来2022年シーズンに向けWEC世界耐久選手権のLMP2クラスをGドライブ・レーシングと戦う契約を結んでいたが、ロシアのウクライナ侵略を受け、FIAはロシア出身ドライバーの参戦を禁止する方針を打ち出し、レースシートを喪失する結果となっていた。この点でNASCARカップシリーズは、非公式ながらロシアのドライバーに対する「制限はない」との意向を示している。

チームのレギュラードライバーであるロリス・ヘゼマンズの27号車フォード・マスタングとともに”聖地”での週末に挑む
開幕戦のデイトナ500ではジャック・ヴィルヌーブを起用したことでも話題を集めた

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