<金口木舌>今は心のエイサーで我慢

 医療現場の厳しさが身に染みた。健康診断で「要精密検査」の項目があり病院を訪ねて検査を予約しようとしたが、新型コロナ対応で人手が足りず、検査を止めていると言われた

▼中には救急搬送でも長時間待機を余儀なくされる事例も出ている。医療従事者にも感染や濃厚接触による欠勤が相次ぎ、綱渡りが続く

▼学校は夏休みに入ったが、子どもだけでなく老若男女多くの人が楽しみにしていたのが沖縄全島エイサーまつりや夏の全島闘牛大会。だがこれらも中止や延期が相次いで決まった。夏の大イベントが控える中部は落胆の声が漏れる

▼コロナ禍で若者が長くエイサーから遠ざかった影響で消滅目前の青年会もあり、文化継承が危機にある。全島エイサーは3年ぶりの開催で復活ののろしを上げる予定だったが、お預けになった

▼希望は「中止」ではなく「延期」となったこと。今はぐっと我慢し、医療現場を静かに応援したい。それで救える命があるはず。秋の虫の声や冬のクリスマスソングの音と共に聞く太鼓の音も、変わらず魅力的だ。

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