五島の伝統漁法「スケアン」 住民らが石垣修復 地域振興へ活用目指す

重機を使って石垣を修復する住民ら=五島市三井楽町大川地区の海岸

 海岸に石垣を築き、潮の干満を利用して魚を捕る漁法「スケアン」が行われていた長崎県五島市三井楽町大川地区の海岸で、住民らが修復に取り組んだ。復活後は、子どもらの漁の体験活動への活用を目指す。
 住民らは、同市のNPO法人カメリア五島などでつくる五島里海里山協議会(永冶克行会長)。環境省の支援を受け、昨年から三井楽町に残る伝統的景観「円畑(まるはた)」や周囲のツバキ林の保全管理に取り組んでいる。
 大川地区のスケアンは、地元住民が2カ所で計約80メートルにわたって石垣で入り江を仕切り、潮が引いた後に取り残されたミズイカなどを捕っていたという。約60年前に石垣が崩れた後は、使われなくなっていた。
 同協議会は12日から干潮時に作業を開始。カメリア五島のメンバーらが数日間かけ、重機などで高さ約1メートルまで大小の石を積み上げ完成させた。体験活動の実施時期は未定。
 永冶会長は海藻の再生や海ごみ回収にも取り組みたい考えで「里山と里海の自然を一体的に守り、教育や地域振興に生かしたい」としている。

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