「北前船」観光再生の起爆剤に 備前の関係者、喜びと期待の声

記者会見で喜びを語る吉村市長(左から2人目)ら

 文化庁が29日発表した日本遺産で、北前船ゆかりの「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間」への追加が決まった備前市。知らせを受けた地元関係者は、新型コロナウイルス禍で打撃を被った観光の再生に向けた期待とともに、さらなる魅力発信への決意を口にした。

 同市にとって、旧閑谷学校を含む「近世日本の教育遺産群」(2015年)、伝統的陶磁器の産地による「きっと恋する六古窯」(17年)に続く3件目の日本遺産認定。午後5時から市役所でセレモニーがあり、庁舎に懸垂幕が掲げられた。

 式後に記者会見した吉村武司市長は「一つの自治体に三つの日本遺産があることは大変名誉。市民と喜びを分かち合うとともに、関係する自治体と連携した観光振興に力を入れていく」と強調した。

 文化庁のお墨付きを得たことは誘客の大きなプラス材料。備前観光協会の船橋美可事務局長(68)は「市内の他の二つの日本遺産と連携したツアー、瀬戸内海を巡る遊覧船の誘致などに取り組みたい」と意気込んだ。

 北前船が寄港し係留された片上港周辺を描いた絵図「片上八景」がある、ゑびすや荒木旅館(同市西片上)の7代目女将(おかみ)、荒木陽子さん(53)は「大変うれしく誇りに思う。まちがにぎわいを取り戻す起爆剤になれば」と話した。

日本遺産「北前船」の追加認定の知らせを受け、備前市役所に掲げられた懸垂幕=29日午後5時3分

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