<レスリング>U17世界選手権(イタリア)出場の女子チームが帰国

 

 イタリア・ローマで行われたU17世界選手権に出場した女子チームが7月31日、羽田空港に帰国した。「金3・銀4・銅1」を獲得し、国別対抗得点では、43kg級は派遣なしという状況ながらインドを退けて優勝。出場した大会は、7大会連続で団体世界一を達成した。

団体優勝を達成し、帰国した女子チーム

 吉村祥子チームリーダー(エステティックTBC)は、3つの目標を立てていたと言う。「各自が目標とした金メダルを達成すること」「団体優勝すること」「人として成長すること」。

 調整練習では各国スタイルの特徴を想定した練習を毎回行い、コーチと選手が映像を一緒に見て研究し、対策を行うことで、不安をかなり軽減させてマットに上がらせることができたと言う。

 団体優勝は、1階級欠けている中で達成するのは「難しいことだったと思う」と話す。しかし、選手の「団体優勝したい、という気持ちが強かった。励まし合い、自分の試合が終われば応援にまわり、大変な時は助け合うという姿勢がすごかった。この年齢の子がここまでできるのかな、と思えるような団結力だった」と称賛し、この団結力こそが優勝を勝ち取れた要因と分析する。

 こうした過程の中で、「人として成長したと思います。(試合後に提出してもらった)感想文を読んでみて、選手自身も成長したことを実感しているようです」と話し、競技力向上につながる人間力の向上も達成できたと実感。「2028年ロサンゼルス、2032年ブリスベンのオリンピックへ向けて、必ず成長してくれると思います。(コロナ禍にもかかわらず)この世代にこうした機会を与える決断をしてくれた協会の方々に感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。

 冨田和秀コーチ(自衛隊)は「尾西桜主将、佐々木すず副主将を中心にチームの雰囲気がよく、チーム力で勝ち取った団体優勝だと思います。自主性があって、印象に残るチームです」と、その団結力を称賛。ほとんどの選手が初の国際大会だったが、世界で通用する技術を持っており、「各所属でしっかり鍛えられている」と感じたそうだ。

 ただ、海外遠征がなかったので外国選手との闘いに慣れておらず、力を生かし切れていないことは感じたと言う。「国際経験さえあれば、もう2人、3人は優勝させられたかな。これから国際経験を積んでいくことで、もっと伸びると思う」と期待した。


金メダル獲得選手。左から松田幸々、内田颯夏、佐藤杏樹

 ■46kg級優勝・松田幸々(京都・丹後緑風高)「先輩やコーチの方々のおかげで優勝することができました。感謝したいと思います。勝因は、落ち着いてできたことと、コーチのアドバイスをしっかり聞けたことだと思います。(準決勝の相手はU17アジア選手権優勝のインド選手で)コーチから『自分の力を出せば勝てる』と言われました。力は強かったですが、自分の動きができ、勝つことができました。返し技を注意して闘いました。次はインターハイ優勝が目標で、そのあとも勝ち続け、来年の大会で連覇したいと思います」

 ■57kg級優勝・内田颯夏(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)「ずっと目標としていた金メダルでした。妹(菜楓)がU15アジア選手権で優勝し、自分も絶対に優勝する、という気持ちでした。2人で優勝できてよかったです。(5試合で無失点)取られたポイントは0点でも、グラウンドの処理がしっかりやれなかったとか、できなかったことはたくさんありました。そこを直し、もっと強くなって上を目指したいです。すぐ始まるインターハイで勝ち、来年の連覇、そしてオリンピックの夢につなげたいです」

 ■65kg級優勝・佐藤杏樹(秋田・秋田商高)「夢みたいで、実感がないのですが、とてもうれしいです。(全試合、フルタイム闘っての判定勝ち)きつい場面もありましたけど、みんなの応援もあり、頑張れて勝てた試合もありました。ポイントを取るべきときに、気持ちを切らすことなく攻め切れたことが勝因だと思います。インターハイで優勝することが次の目標です。しっかり勝ちたいと思います」

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