サッカー選手に怪我は付き物であるが、その中でも最も復帰に時間がかかるものの一つが靭帯損傷。手術をしなければ修復されることはなく、手術をすれば何ヶ月もの離脱を余儀なくされる。
先日は宮市亮選手がE-1選手権で負傷してしまい、再び長くピッチから離れなければならなくなった。
今回は、そのような前十字靭帯の負傷を経験した選手たちを改めてご紹介する。
ロイ・キーン
怪我をしたシーズン:1997-98
マンチェスター・ユナイテッドでプレーした「闘将」ロイ・キーン。あらゆるプレーに長けるボックス・トゥ・ボックスMFであったが、アーリング・ハーランドの父親であるアルフ・インゲ・ハーランドとのマッチアップで前十字靭帯を断裂し、1997-98シーズンをほぼ丸々欠場することになった。
そのシーズンはアーセナルにタイトルを明け渡してしまったが、その後復活したロイ・キーンは1998-99シーズンのトレブル(三冠)に貢献。怪我をする前のような万能性はなくなったが、その圧倒的な闘争心で世界クラスのパフォーマンスを見せ続けた。
ラダメル・ファルカオ
怪我をしたシーズン:2013-14
FCポルトとアトレティコ・マドリーでは世界最高の点取り屋の名を欲しいままにしていたコロンビア代表FW。2013年にフランス・リーグアンのモナコに引き抜かれたが、その半年後の試合中に前十字靭帯を断裂する大怪我を負ってしまった。
負傷によってワールドカップを欠場、さらにマンチェスター・ユナイテッドとチェルシーでのローン移籍も失敗と「もはやファルカオは終わってしまったのか」と思われたが、2016-17シーズンになって劇的に復活。21ゴールを決めてリーグアン優勝に導いた。
ズラタン・イブラヒモヴィッチ
怪我をしたシーズン:2017-18
イブラヒモヴィッチが初めて前十字靭帯を断裂したのは30代の後半。マンチェスター・ユナイテッドでプレーしていたとき、ヨーロッパリーグでアンデルレヒトと対戦したときに負傷してしまった。それまで公式戦28ゴールと絶好調だったが…。
「年齢も年齢であるし、果たして戻ってこられるのか」という懸念もあったが、ユナイテッドで復帰した後にLAギャラクシーへと移籍。アメリカで再び圧倒的なパフォーマンスを見せると、古巣のACミランへと移籍し、昨季はセリエAでスクデットを獲得している。
アラン・シアラー
怪我をしたシーズン:1992-93
イングランドの伝説的ストライカーであるアラン・シアラー。サウサンプトンでプレーしたあと、1992年にブラックバーン・ローヴァーズへと引き抜かれたものの、12月のリーズ戦で右膝の前十字靭帯を断裂した。
絶望的な状況であったがシアラーは見事に復帰し、次のシーズンには40試合で31ゴールを奪取。1994-95シーズンにはプレミアリーグ優勝という快挙を成し遂げている。
マルコ・ロイス
怪我をしたシーズン:2016-17
ボルシア・ドルトムントが生んだ天才MFマルコ・ロイスは、怪我さえなければ世界最高の舞台へと足を踏み入れたであろう選手だ。2017年5月に右膝の前十字靭帯を部分断裂し、半年以上を棒に振った。
2018年のワールドカップで復帰したものの、その後2年間は怪我との戦いが続いた。2016年から2020年までの間になんと13回もの負傷をしたものの、2020-21シーズンからは再びシーズンを通してプレーできるように。ドルトムントの中心的な存在としてまた輝きを放っている。
ロベルト・バッジョ
ロベルト・バッジョのキャリアは18歳のときの前十字靭帯断裂からスタートしている。それにもかかわらずフィオレンティーナへと移籍したが、その1年後にも膝の靭帯を痛めてしまう。
それからもキャリアを通じて膝の怪我と戦い続けた選手であるが、1993年にはユヴェントスでバロンドールを獲得するなど当時の「世界最高のファンタジスタ」として活躍。伝説的な選手として大きな名声を得ることになった。
ルート・ファン・ニステルローイ
怪我をしたシーズン:1999-2000
1999-00シーズンにPSVで23試合29ゴールと大爆発した後、クラブ記録となる移籍金でマンチェスター・ユナイテッドに移ることが決まっていた。しかしながら、その数日前に前十字靭帯を断裂したためにこの話が立ち消えになったというエピソードがある。
ただ、マンチェスター・ユナイテッドは彼への関心を捨てることはなかった。1年後には再び交渉を行い、移籍が成立。プレミアリーグに進出したファン・ニステルローイは、219試合に出場して150ゴールを奪取するなど大活躍を見せた。
アレッサンドロ・デル・ピエロ
怪我をしたシーズン:1998-99
ユヴェントスのエースとして活躍していた1998年11月、ウディネーゼ戦で左膝の前十字靭帯を断裂。選手生命すらも危ぶまれるほどの怪我であったものの、9ヶ月ものリハビリを経て復帰を果たした。
数年間はなかなか調子が上がらなかったものの、徐々に復活。攻撃的MFとしてやや下がった位置でのプレーに適応し、2006年のワールドカップでは念願の世界王者にも輝いている。
チャビ・エルナンデス
怪我をしたシーズン:2005-06
バルセロナの中心的な司令塔として活躍していたチャビ・エルナンデス。2005-06シーズンのトレーニングセッションで右膝の前十字靭帯を部分断裂してしまった。しかしながらわずか5ヶ月という期間で驚くべき回復を見せ、2006年のワールドカップにも出場している。
それからは年齢を重ねるに連れてプレーに冴えを見せ、黄金時代のバルセロナを数多くのタイトルに導いた。そして現在は監督として古巣の復活を支えている。
フィルヒル・ファン・ダイク
怪我をしたシーズン:2020-21
2020年10月のマージーサイド・ダービーでピックフォードと接触した際、右膝の前十字靭帯を大きく損傷する怪我を負ってしまったファン・ダイク。この影響によって8ヶ月後のワールドカップも欠場しなくてはならなくなった。
10ヶ月ほどピッチから離れたあとに復帰を果たすと、驚くべきことにかつてのようなパフォーマンスをすぐに取り戻し、リヴァプールの最終ラインに欠かせない選手として君臨し続けている。