クリストファーソン率いるKMSが体制確定。電動化新時代のRX1eに向け2名の若手を起用/WorldRX

 WorldRX世界ラリークロス選手権で、今季2022年より導入される電動最高峰“RX1e”クラスへの参戦を表明するフォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウスことクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)は、言わずと知れた“4冠王者”のヨハン・クリストファーソンを含めたドライバーラインアップを発表。絶対エースの僚友としてEuroRX優勝経験を持つオーレ・クリスチャン・ベイビーに加え、ストックホルム生まれのティーンエイジャー、グスタフ・ベリストロームの起用をアナウンスした。

 本来7月末にスケジュールされていたドイツ・ニュルブルクリンクでの開幕戦を延期する決断を下し、8月13~14日のノルウェー・ヘル戦が新たなオープニングイベントに指定された新生“RX1e”に向け、最強プライベーターとも言えるKMSが注目のドライバーラインアップを明らかにした。

 直近の『ナイトロ・ラリークロス(NitroRX)』第2戦にもドレイヤー&レインボールド・レーシング・ウィズ・JCレーステクニック(DRR JC)から参戦したノルウェー出身のクリスチャン・ベイビーは、9年前に初めてKMSと仕事をして以降、ラリークロスのみならずラリー界でも頭角を現す存在に。

 2014年と2015年にはWorldRXで経験を積むと、その後はシュコダやヒョンデのファクトリー契約ドライバーとしてジュニア・プログラムにも加入し、WRC世界ラリー選手権のステップアップ・カテゴリーでもあるWRC2で、連勝と複数の表彰台を獲得してその才能を知らしめてきた。

 今季初冬のラリーXノルディックでひさびさのラリークロス復帰を果たしたそんな26歳の有望株は、電動化初年度の“RX1e”で晴れて世界選手権フルタイムデビューを飾ることが決まった。

「僕はここ数年ラリーでの活動に集中してきた。もちろん今後もラリーは続けるが、同時に変化のときだと思ったんだ。何か新しいことをするのはいつでも興味深いことだし、電気自動車でのラリークロスはちょうどいい感じだね(笑)。KMSに戻ってくるのは素晴らしいことで、僕らの関係はほぼ10年前に始まった。もちろん今でも、僕は彼らをよく知っているんだ」と語ったオーレ・クリスチャン・ベイビー。

「何より、ヨハンと一緒に仕事ができるのは最高の環境だ。僕の意見だが、彼は世界最高のドライバーであり、どんな経験もゴールドメダルに匹敵するのは間違いない。彼はラリークロスに関する信じられないほどの知識を持っており、一緒に新シーズンに向け強力な体制を整え、最前線で戦うことを可能にする優れたパッケージを構築するつもりさ。それに、スウェーデン人とノルウェー人の間には少しのライバル関係があることも明らかだし、その戦いに勝つためにも全力を尽くすよ!」

直近の『ナイトロ・ラリークロス(NitroRX)』第2戦にもドレイヤー&レインボールド・レーシング・ウィズ・JCレーステクニック(DRR JC)から参戦したノルウェー出身のオーレ・クリスチャン・ベイビー(左)
「もちろん今後もラリーは続けるが、同時に変化の時だと思ったんだ」と、KMS“復帰”のクリスチャン・ベイビー

■チームマネージャー&代表を務める父のトミー・クリストファーソンも意気込み

 一方、陣営内で3台目のドライバーに起用されたベリストロームは、かつてKMSがタイトルを獲得したSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権で長年エンジニアを務めたロニー・ベリストロームの子息であり、昨季のラリーXノルディックや国内選手権のスーパーカー・ライトで競技を始めたばかりの新鋭でもある。

「まさかWorldRXにレギュラー参戦する機会が得られるだなんて、本当に夢の実現だよ。昨年ラリークロスに実戦デビューしたばかりだけど、すぐにその虜になった。世界選手権は最高峰だし、目の前には非常に困難な課題があると思うけど、できるだけ多くの経験を積みたいと考えている。だって僕の周囲には、最高の教師たちが揃っているんだからね!」

 そのフォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウスのチームマネージャーを務め、KMS代表としてヨハンを育て上げた実父のトミー・クリストファーソンは、電動化時代のWorldRXに3台のマシンを送り込めることを「非常に誇りに思っている」と意気込みを語った。

「ラリークロスの新しい章を始めるにあたって、3台のマシンをトラックに送り出すことができて最高の気分だ。すべてをまとめるのは大規模なプロジェクトだったが、我々がそれを成し遂げたことに勇気付けられた。バウハウス、フォルクスワーゲン・ディーラー、そして元フォルクスワーゲン・モータースポーツのファクトリースタッフと協力し、新たなチャンピオンシップを戦えることは本当に光栄だ」と続けたトミー代表。

「我々の間には多くの経験があり、それがこの電動化時代にも大きなアドバンテージになると思う。そして我々は皆、同じ目標を共有している。新たな“RX1e”は、これまで閉ざされていた扉を開きつつある。やるべきことがまだあることは明らかで、ファンを納得させる必要があることはわかっているが、正直なところ、非常に速いドライバー、マシン、チームの間で良い戦いが繰り広げられると確信しているよ」

STCC時代のKMSで、長年エンジニアを務めたロニー・ベリストロームの子息であるグスタフが、世界戦のレギュラーシートを得た
「正直なところ、非常に速いドライバー、マシン、チームの間で良い戦いが繰り広げられると確信している」と語るトミー・クリストファーソン代表

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