道路冠水、旅館で孤立状態…記録的大雨に遭った福井県の一日 勝山市では皿川あふれる

泥水をかき出す住民。住宅には人の腰の高さを超える水の跡が残っていた=8月4日午後1時15分ごろ、福井県勝山市荒土町伊波

 福井県奥越地方は8月4日、記録的大雨に見舞われ、河川が至る所であふれた。家屋や道路に濁流が迫り、住民は「こんなことは初めて」と恐怖を感じた様子。勝山市では床上浸水も相次ぎ、避難所には多くの人が身を寄せた。土砂崩れなどによる通行止めの影響で、山あいの観光施設の利用客は足止めされた。

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 午前10時に避難指示が全域に出された勝山市。市によると、暮見川など3河川があふれ、市内各地で道路が冠水した。皿川があふれた荒土地区を中心に住宅約10軒の床上浸水が確認された。暮見川流域の村岡地区では護岸の一部が損壊した。市災害対策本部は「家屋の浸水などの全容は把握できていない」とし、日が暮れても情報収集に追われた。

 同市内各地に開設された避難所にはピーク時に計85人が身を寄せた。市村岡まちづくり会館に避難した暮見川近くに住む女性(94)は「朝からひどい雨で怖くて落ち着かなかった。家がどうなっているか心配」と表情を曇らせた。

 大野市では、住宅9軒が床下浸水した。川のように道路を水が流れ、不安を募らせる住民の姿があちこちで見られた。

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 県奥越土木事務所によると、4日午後9時40分現在、勝山、大野両市で国道と県道計12カ所が通行止めとなっている。勝山市のスキージャム勝山は、アクセス道の「法恩寺山有料道路」が土砂崩れで通行止めになり、利用客やスタッフ約290人が下山できていない状況。復旧作業は終わっておらず、スキージャムは「二次災害の可能性もあり、下山を見合わせてもらった」とし、利用客に無償で食事と宿泊の部屋を提供して対応した。

 大野市上打波の温泉旅館「鳩ケ湯」では、宿泊者ら4人が山道の土砂崩れで孤立状態に。大阪府大阪市の男性(67)は「雨と雷が断続的に続いていて怖い」と不安げに話していた。

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