越冬「ノスリ」 一部大陸系亜種 長崎大グループが確認

ユーラシア大陸亜種であることが確認されたノスリの個体=長崎市(吉岡俊朗さん撮影)

 長崎県などで越冬する猛禽(もうきん)類ノスリのうち、濃い色の羽が目立つ一部の個体が、日本列島の亜種とは別のユーラシア大陸亜種であることが、山口典之長崎大環境科学部教授のグループの調査研究によって明らかになった。
 イギリス鳥学会発行の国際誌アイビスに論文が掲載された。
 ノスリはタカの仲間で、全長約50センチ、羽を広げると約130センチ。西日本では主に冬鳥として観察され、夏には中部地方以北で繁殖する。羽色は茶色と白が混じり合っているが、越冬する個体の中には赤茶色や黄褐色など濃い色が目立つノスリがいることが知られていた。
 山口教授らのグループは、2018年2月から20年2月にかけて長崎市と福岡県糸島市で捕獲した濃い色の個体計4羽に、衛星利用測位システム(GPS)機器を取り付けて渡りのルートを追跡。この4羽がロシア極東部に到達したことを確認した。また羽毛から抽出したミトコンドリアDNAによって、この4羽がユーラシア大陸亜種であることを確認した。
 山口教授は「羽色の濃いノスリは、日本亜種のノスリとは渡りのルートが異なる大陸系であることを突き止めることができた。大陸に近い対馬や五島などの離島を抱えた本県は、他の地域よりも大陸系のノスリをよく見かける印象がある。今後は大陸系のノスリの割合や行動などをもっと詳しく調べていきたい」と話している。
 研究成果は8月28日まで北九州市立いのちのたび博物館の特別展示で紹介されている。


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