異郷の生活に役立てて ウクライナからの避難民向け日本語会話集 大学教授ら3世代でまとめ出版 

日本語会話集を親子3世代で出版したウラディーミルさん(左)、ビクトリヤさん(中央)、潤さん

 ロシア軍の侵攻で日本に避難したウクライナ人向けの日本語会話集を、京都情報大学院大教授のウラディーミル・ミグダリスキーさん(50)が母子とともに3世代でまとめ、出版した。「今すぐその場で使える」という内容で、異郷での生活に役立ててもらいたい考えだ。

 南部オデッサから4月にポーランド経由で避難した母ビクトリヤさん(78)と、ウラディーミルさんと京都市で暮らす娘の稲川ジュリア潤さん(18)の3人が手がけた。一般的なあいさつから、最低限の日常表現まで約500フレーズを収録。発音はローマ字で案内する。

 数学の研究者であるウラディーミルさんは、日本に滞在して20年余り。ゼレンスキー大統領の来日時に通訳も務めた。ビクトリヤさんはオデッサの日本語教師。2人は「伝えたい言葉を相手に指し示せばいい。誰でも使える」と活用を呼びかけている。

 発行元のドニエプル出版(大阪府)によると、ウクライナは日本と比べ、地震や豪雨のような自然災害はまれだ。「救急車は何番ですか」「近くに病院はありますか」といった緊急時の表現も紹介する。

 出兵した夫を残し、3月に中学生の息子と横浜市に避難した編集者のリリア・ティアズカさん(35)は「既存の辞書は英訳がなく、日本語の読み書きがある程度できないと理解できない」と打ち明ける。市国際交流協会の語学ボランティア、オクサーナ・ピスクノーワさん(46)も「『頭上注意』は『頭に気をつけて』でいい。優しい日本語が求められている」と指摘。2人はこの会話集を「実用的」と評価している。

 45ページで550円。全国の書店で販売。問い合わせは、ドニエプル出版電話072(926)5134。

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