内閣改造・自民党役員人事で飛び交う観測 岸田首相、「菅氏重用」で無敵に

菅義偉前首相

 岸田文雄首相は6日、地元広島での記者会見で、内閣改造と自民党役員人事について「来週にも行いたい」と明言した。注目されるのは対峙(たいじ)関係にあった菅義偉前首相(衆院2区)の処遇。この機に閣内や党の要職に取り込めれば「岸田総理にとって向かうところ敵なし」(官邸関係者)の政権構図となるからだ。副総理や幹事長など重要役職への起用観測が週末の永田町で飛び交っている。 

 岸田首相が人事を急ぐのは、新型コロナウイルス感染症の流行「第7波」への対策や旧統一教会を巡る疑惑解明、国葬に対する国民への説明という“逆風3点セット”で後手に回り、内閣支持率が急落しつつあることが背景だ。

 安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件で、警備責任を負う二之湯智国家公安委員長が参院議員任期切れとなりながら「民間閣僚」として続投しており、国葬準備を担っていることに対して「不正常」(首相経験者)との不満が高まっていることにも配慮せざるを得ない。

 加えて岸田首相には「主を失った自民の最大派閥・安倍派がまとまらないうちに人事を断行してしまいたいとの思惑がある」(自民の閣僚経験者)とされる。実際、安倍派は新しい会長を決めきれず、少なくとも国葬までは集団指導体制を取る見通しで「安倍氏は菅氏とのタッグをにおわせ、外交・安全保障などで岸田総理を揺さぶってきた。安倍氏亡き後に総理が怖いと思うのは菅氏だけ」と自民の閣僚経験者は話す。菅氏が入閣となり、党の執行部入りすれば挙党態勢が整うとされるゆえんだ。

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