大雨で池のアマゴやイワナ20万匹ほぼ全滅 福井県勝山市、生産組合の養殖池

泥水が入り込んだ養殖池から死んだ魚を取り出す北川さん=8月6日、福井県勝山市野向町横倉

 福井県の奥越地方を襲った大雨で、勝山市野向町横倉の「あまごの宿」で提供するアマゴなどを養殖する勝山淡水漁業生産組合の池に泥水が入り、魚が死ぬ被害が出た。あまごの宿の社長で同組合長の北川雅敏さん(69)によると、池にいた約20万8千匹は「ほぼ全滅」の状態。同宿も被災し再開のめどは立たないが、「お客さんや地域のために、必ず元通りにする」と前を向く。

 同組合は近くの野津又川の水を引いてアマゴ、イワナ、ヤマメなど淡水魚を32の人工池で養殖し、隣接するあまごの宿に出荷。同宿では、新鮮で臭みのないアマゴ料理などを提供している。

 同市野向町横倉では、8月4日未明から激しい雨が降り、午前8時半ごろから野津又川が増水。「川岸を越える勢いで焦げ茶色の濁流が迫ってきた。大きな岩が流れるような地響きもあり、命の危険を感じた」(北川さん)という。

 泥水は取水口などを通じて養殖池に流れ込み、網ですくっても生きた魚が一匹もいない池もあった。あまごの宿は、調理場が浸水し冷蔵庫や冷凍庫が壊れたほか、上水道が利用できなくなり予約をすべて断った。

 組合員やあまごの宿の従業員は6日、死んだ魚の処理などに追われた。

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 「50年間ここで頑張ってきたが…」と北川さんは肩を落としたが、被害を聞いた地域住民や常連客らから励ましの声が届いたという。「マイナスからのスタートだが、応援を励みに元通りにアマゴを届けたい」と話した。

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