ピークは7000人前後か「感染力強く 医療従事者が勤務できない状況が拡大」拠点病院の院長に聞く 新型コロナ 広島

新型コロナの感染者数が7日の発表で6000人を超えるなど、広島県内での感染拡大が止まりません。新型コロナ患者を受け入れている拠点病院の1つ、広島市立舟入市民病院の院長に現在の状況をどうみているのか、聞きました。

RCC

広島市立舟入市民病院 高蓋寿朗院長
「広島大学の田中純子先生のチームによる最新のシミュレーションでは広島県での感染者数のピークの人数は7000人前後と考えられていて、今から10日から15日前後でピークを迎えるのではないかと考えられている。しかし、今回は流行の規模も大きい。感染者数の減少にはかなり時間がかかる可能性があると危惧している」

RCC

現在の患者の症状の程度はどのようなものでしょうか…。

広島市立舟入市民病院 高蓋寿朗院長
「感染者数が最近はとても多いのに、経過中に症状が悪化して受診を希望される患者さんはむしろ減っていると感じている。オミクロン株以降、特に現在のBA.5による症例では、デルタ株までにみられた新型コロナに特有な肺の画像所見などはほとんど見られない。発熱・咽頭痛がつらいと話される患者は多いが、せきなどの呼吸器症状は比較的軽くて、酸素投与が必要な方は非常に少なくなっている。全般的に軽症化していることは間違いないと思う」

ただ、BA.5は、軽症化しているとはいえ、高齢者や基礎疾患のある人は注意が必要だといいます。

RCC

広島市立舟入市民病院 高蓋寿朗院長
「現在でも高齢者や基礎疾患を有する方の場合は、感染を契機に全身状態が悪化して、重症化してしまうケースは残念ながらあります。『軽症化したから感染しても大丈夫』と考えずに、小児や高齢者などを危険にさらさないためにも、それぞれが感染拡大をさせないよう心がけることも大切かと思う」

今後については…。

RCC

広島市立舟入市民病院 高蓋寿朗院長
「病床使用率が示す以上に現場は厳しい状況が生じていると思う。高齢者と基礎疾患のある方の入院例が増加しており、新型コロナ自体の症状は改善しても、全身症状が改善せず、すぐに退院できないケースもある。また、今回は、軽症とはいえ、感染力が強いので、医療従事者が現場や市民生活の中で感染したり、濃厚接触者になったりして勤務できなくなる状況が拡大している。このためコロナ病床だけでなく、一般病床の運用も厳しくなってきている。この問題は今後、非常に問題になると思っている。病床利用率が80%を超えるような状況になると、入院調整は非常に厳しくなると懸念している」

© 株式会社中国放送