ジャネット・ジャクソン、自身のジャンルや作詞、そして私生活を語った2006年のインタビュー

Photo: Solaiman Fazel, courtesy of Live Nation

2022年8月24日に日本盤シングルとMVを収録したベスト盤『ジャパニーズ・シングル・コレクション-グレイテスト・ヒッツ-』の発売が決定したジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)。

そんな彼女が2006年に発売したアルバム『20 Y.O.』のプロモーションで対面取材を行った際のインタビューを掲載。インタビュアーはライター/翻訳家の池城美菜子さん。

『bmr / ブラック・ミュージック・リヴュー 2006年11月号(通巻339号)』初出のインタビューです(Courtesy of bmr 所有者 丸屋九兵衛氏)。

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2006年にリリースされた『20 Y.O.』を巡る、18年前のジャネット・ジャクソンの対面インタビューである。まだ音楽誌の影響力が大きかった時期。大物アーティストのインタビューもたまにあったが、ジャネットが個別にインタビューを受けるのは珍しく、はりきった。

急遽決まった取材で、文中でジャネット本人に伝えているように連絡を受けた時、ダンスホール・レゲエのビーニ・マンのウェディング・バッシュの取材で私はジャマイカにいた。結婚報告代わりの野外コンサートをギリギリまで観て、直接空港に向かった。台風が近づいていて足止めを恐れていた、パフォーマンスを終えたばかりのエイコン一行に紛れて出国したはずだ。

ビーニ・マンとジャネットが同じヴァージン・レコーズにいたのもあり、「ジャネットの取材がある」と伝えただけで多くの人が助けてくれた。ジャネット・ジャクソンの神通力は、半端ない。ビーニ・マンの「Feel It Boy」フィーチャリング・ジャネットがヒットしたのが2002年。ビヨンセが翌年にショーン・ポールを招いた「Baby Boy」を作ったのは、この曲のヒットと少なからず関係あるだろう。

『20 Y.O.』は、スーパーボウル・ハーフタイムショーの直後にリリースしたものの、衣装替えの誤作動事件の余波で十分なプロモーションができなかった『Damita Jo』から2年と短いインターバルで発売された。前作に引き続き、盟友のプロデュース・チーム、ジミー・ジャム&テリー・ルイス(ジャム&ルイス)以外のプロデューサーも迎えて制作された通算9作目。

本作で目立ったのは、恋人だったジャーメイン・デュプリだ。1992年、19歳でクリス・クロス「Jump」を大ヒットさせて以来、ブラック・ミュージック・ファンの心の「特等席」にいる人ではある。その彼でも恋人のジャネットをプロデュースするのは難しかったようで、『20 Y.O.』への評価は厳しかった。それでも、ビルボードのアルバム・チャートの2位に登場し、プラチナム・セールスを記録したのだから彼女はやはり別格だ。

では、18年前のインタビューだ。

 

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女神、降臨。褐色の肌を持つ最も愛らしいアイドル/シンガー/アイコンとして20年以上も君臨し、黒人の人々のプライドを上げ、音楽シーンを引っ張ってきたジャネットが、戻ってきた。前作『Damita Jo』は、スーパー・ボウルでの衣装破損事件の余波で十分プロモーション出来なかったものの、内容はそれまで以上にR&B寄りで本誌読者的には歓迎だったはず。9月27日、突然秋めいた天気になったニューヨークのトランプ・ホテルのスイートに、スポーティーな装いのジャネットがいた。

 

――『20 Years Old』とは絶妙なタイトルですね。

『Control』から20年経った節目を記念して付けたの。目を引くような変わったタイトルを付けたかったというのもあって、いろいろ候補が出た中で強く引っかかったのがそれだった。

――『Design of A Decade』からも10年ですが、『Design of Two Decades』的なベスト・アルバムは考えなかったのですか?

あら、それは考えなかったけど、いいアイディアね。あれからもいろいろな事があったわけだし。クールなアイディアだから、ひょっとしたらやるかも。

――『Control』以来、3、4年ごとにアルバムを出すのがパターンでしたが、今回は『Damita Jo』から2年と早いペースになっていますね。特別な理由はあります?

自分ではもう3年くらい経ったような気がするの。今みたいに指摘されて、あ、まだ2年しか経ってないんだって、気づくくらい。もう、スタジオに戻りたくてうずうずしていたのね。だから、そうした(笑)。

――前作もとても好きだったのですが、彼氏のジャーメイン・デュプリが作るR&Bを長年聴いてきたファンとしては、彼が参加していなかったのは残念でした。今回はかなり参加しているようですが、ジミー・ジャムとテリー・ルイスとあなた、それからジャーメインと全員でスタジオに入ったのですか?

そう。それがすごく楽しくて、スムーズに行ったの。それぞれが自分のパートで力を発揮したから、本当の意味でのコラボーレーションになったと思う。全員でスタジオに入って作業をした時もあれば、アイディアを持ち帰ってそれぞれがやってからまた集まって仕上げたこともあった。そこで、ほかの人の仕事に手を加えることもあったし。いい感じだったわよ。

――例えば、ジャーメインがアイディアを出して…。

ジミーが2ヴァース足して、逆にジミーが作り始めたら、ジャーメインが足すって感じ。

――いままで共演してきたアーティストには、へヴィー・D、バスタ・ライムズ、ビーニ・マン、カニエ・ウェストがいます。今回は「Call On Me」でネリーを招くなど、けっこう異なるタイプのアーティストと共演していますが、「この人と組もう!」と思う決め手は何でしょう?

曲次第ね。その曲に自分に合っているかをまず考える。好きなアーティストでも、曲が気に入らなかったら、出来ないでしょう。

――今までで最も印象的なコラボレーションは?

うーん、どれかしら。分からない……そうね、彼自身がすばらしいアーティストであるのと、もうこの世にいないという理由で、ルーサー(・ヴァンドロス)を挙げておくわ。彼は、とてもいい人だったのよ。

――あなたの影響力は凄まじくて、ミッシー・エリオットとシアラは最近のツアーで、もろに『Control』や『Rhythm Nation』を思わせる衣装やダンスを披露するセグメントを作っていました。それについてはどう感じていますか?

二人ともビデオとアウォード・ショウでのパフォーマンスしか見たことないけど、みんな、様々なところからインスピレーションを受けるものでしょう? 出どころがはっきり分かることも当然あるでしょうし、それをどうやって自己流に取り入れるかは、そのアーティスト次第よね。別に悪い気はしないし、むしろ微笑ましく思う。私はこの人にインスピレーションを与えたんだって、ニッコリしちゃうわね。

――あなたは雨や風の音を音楽に取り入れるのが上手ですが、今回は自然をテーマにしたような曲はありますか?

いいえ、今回はない。私自身はそういう自然現象が大好きで、雷も雨も大好き。夏が好きだから…特に、暑い日に晴れ上がっていたのが急に曇って、嵐が来る様子を眺めるのはうっとりするくらい大好き。

――今朝方まで、ビーニ・マンのウェディング・バッシュで、台風が来そうなキングストンにいたんです。

まぁ、大変だったわね……ちょっと、待って! 彼、結婚したの? 全然知らなかったわ。

――あなたに伝言があって、“I still love you”って伝えてくれって。

アハハハハ。やだ、おバカさんねぇ。

――前作で、南の島に行くのが大好きだって言ってましたよね? ヴァケーションで行く時は、何を持って行きます?

一人で行くのは嫌いだから、ボーイ・フレンドか友達は絶対に必要。それか、その両方。あとは水着だけ。ほかは要らないんじゃないかしら。お化粧品もね…フフ。

――すっぴんでもOK?

ええ、大丈夫よ。だって、みんな日焼けしに行くだけだから、リップ・グロスとマスカラがあれば、それでいいじゃない?

 

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世界のアイドル、ジャネットは、私の長年のアイドルでもある。取材の話が来た時は、大げさではなく「生きていて良かった」としみじみ思った。ビヨンセよりジャネットの方が年が近いから、性別以外はほとんど共通点がなくても、いつまでも綺麗な彼女がイメージを変える度、「私も頑張らなくちゃ」と美容院に予約を入れたりもしてきた(←お調子者)。

実物を近くで見たのは、バスタ・ライムズとのビデオ録り以来、約7年ぶり。その時は声の小ささにとにかく驚いたのだが、今回は話し方の艶っぽさにクラッと来た。「……」が多いのは、質問の内容をよくよく吟味して答えるからだ。時折、「やっぱり兄弟」と何度か思ったマイケルにそっくりな目をギョロっと動かして、ヴェテランらしい厳しさを見せる一方(その度、心臓が止まるかと思った)、すぐに例の微笑みを取り戻して、ミューズの顔になる。セルフ・イメージを徹底的に管理している人でもあるが、嵐や南の島の話では視線を宙に泳がして、うっとりした表情を見せた。普通の人では、決してない。柔らかで激しくてとことん美しいものを愛する、すべての女性らしさの化身のような人だと思った。

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――あなた自身、どの音楽ジャンルよりも大きな存在だと思います。ただ、CDをお店に並べる時にジャンル分けは必要ですよね? その場合、今回の作品はどの棚に入れてもらいたいですか? ポップでしょうか、R&Bでしょうか?

私の音楽が一つの棚に収まるかは疑問だけど……そうね、このアルバムに関して言えば、『Control』に近いから、R&Bのルーツに戻っていると思う。私の音楽全般は折衷型で、「Together Again」はハウスっぽいし、「Black Cat」はロックに近かったけれど。本当にいろんな音楽を聴いて育ったから、自分の音楽性も多岐に渡るの。でも、このアルバムでは、私はもっと踊りたいという気持ちが強くて、自分の中にあるR&Bが色濃く出ているわね。前作からそうなんだけど。

――今のところ5曲しか聴いていなくて、うち3曲がミッド・テンポで2曲がアップ・テンポでした。バラッドも作りました?

3曲あるわよ。

――あなたとジャーメインがカップルになって以来、ラヴ・ソングを作る度に、どうしても彼と二人でいるところを想像してしまうのですが、全体のどの程度が彼にあてた曲なのでしょう?

このアルバムで?

――前作も含めましょうか。すでに付き合っていたわけですから。「Thinkin’ Bout My Ex」は違いますよね?(注:一緒にいるときに、どうしても元彼を思い出してしまう、という内容)

あれは違う。私自身ではなくて、ベイビーフェイスたちが書いたの。私はいつでも実体験を書いてはいるけれど…過去の経験を引き出すこともあるし、私自身ではなくて、とても身近な人の体験に私が深く共感して作ることもある。その人と仲がいいだけではダメで、その体験自体に私が自分を重ね合わせて感情移入できるのが大事ね。

――人からリリックをもらうときは話し合って、それから想像力を働かせて歌うのですか?

まぁ、最初から私向けに書いてあるからそれほど難しくないけど、場合によっては、もっと自分らしくするために2、3語入れ替える。

――さほど言われませんが、あなたはソングライターとしてもとても優秀だと思います。

どうもありがとう。確かに、なかなか言われないわね。

――ただ、コ・ライトが多いので、どの部分があなたからストレートに出ているか判別できないときもあって、“ああ、これは女性的な観点だから、ジャネット本人だな”って見当を付けながら聴くのですが、実際はどの程度自分で書かれているのでしょう?

ほとんどが私よ。コ・プロダクションという形になっている場合、トラックを用意してもらって、メロディーやリリックは自分から出すことが多い。

――スタジオでトラックを聴きながら書くタイプ? それとも普段からジャーナルなどに書き溜めるタイプ?

スタジオで書くのは嫌いで、持ち帰るタイプ。大概、聴きながら車を運転している時に、メロディーが浮かんでくる。歌のテーマ自体は、スタジオで最初に聴いたときに、大体決まるんだけど。第一印象で“こういうことを歌おう”って分かるの。

――あなたのほどのスターだと、メディアからの前情報や、ビデオからのイメージがどうしても先に伝わってしまうわけですが?

とにかく、聴いている人にハッピーになってもらいたかった。私自身、長い間、辛い時も楽しい時も聴いてきたような作品がある。それを聴くと、様々なことを懐かしく思い出して、つい微笑んでしまうような……このアルバムは、そういう作品にしたかった。聴く人の人生に歓びをもたらしたかったの。生活で大変なことがあったとしても、それを一瞬、忘れて楽しんで欲しい。

――なるほど。人をハッピーにするには、自分もハッピーでないと難しいと思いますが、やはりスタジオにいるとき、いいムードだったんですね。

私は誰かを幸せにするのに、必ずしも自分が幸せでないといけないとは思わないけど。でも、私がいいムードだったのは事実。

――リラックスしたムードでしょうか? それとも集中できたとか?

ジャーメインと付き合い始めてから、私の人生が大きく変わったのがはっきり出ているはず。ここ数年、本物の味方を得たムードが出ているのよ。

 

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不釣り合いと揶揄されるジャーメイン・デュプリだが、私はとてもお似合いだと思っている。10年も非公表で結婚していたことと離婚を同時に発表した後、様々な浮き名を流したジャネットだが、子役の時からスターだった彼女を理解できるのは、業界大物の息子であまりフツーの育ちではないはずJDくらいだと思うからだ。「誰かを幸せにするのに、必ずしも自分が幸せでないといけないとは思わない」と言った声が、こちらがドキッとするくらい強くて、彼女はアンハッピーな時もみんなを楽しませる音楽を作ってきたのだと悟った。「彼の子供が欲しい」とはっきり言っているジャネットが、今、とても幸せなのは間違いなさそうだ。

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――個人的に入れ込んでいる曲はありますか?

いくつかあるから難しいわね。「Love 2 Love」と「Take Care」も好きだし、「Do It 2 Me」「So Excited」「With U」も…。

――「With U」は日本のファンが好みそうなミッド・テンポだと思いました。リリックの内容はちょっと複雑ですよね?

そうなの。混乱した状況を歌っていて、とても特別に思っている人がいるのだけれど、ほかに好きな人が出来てしまった、という。どちらも違う意味で愛しているのね。新しい人が本命だと分かっていて、一緒にいるのが正しいのだけど、前の人にも情があるのよ。

――あなたの曲は耳当たりが良くて、うっかりすると気持ちよく聞き流してしまうのですが、リリックをよくよく聴くとかなりディープだったり、隠された意味があったりしますよね。

ああ、言いたいことは分かるわ。

――囁くような歌い方も関係あると思うのですが、R&Bでは声を張り上げるようにして歌う人が多い中、こういう歌い方を編み出した理由はありますか?

それが私の歌い方なのよ(笑)。普段の声も小さい方だし。自分の声を無理に押し出さずに歌うとああなるの。

――女優業の方はいかがですか?

届いている脚本はきちんと目を通しているわよ。今、届いているのは、とても大きなプロジェクトで即答が必要みたいだから、なるべく早く読んで、もしアルバムのプロモーションのスケジュールとうまく調整できるようだったら前向きに検討すると思う。

――映画ではいつもグッド・ガールの役どころでしたが、逆のタイプを演じてみたい気持ちはありますか?

ある! ビッチを演じてみたい(笑)。でも、みんな私をスイートな女性に描きたがって、そういう役はなかなか来ないの。

――ジャクソン家の末っ子としてのイメージが強くて、どんなにヴェテランになっても「アメリカの妹」的な見方をされるように思います。そのイメージは好きですか?

それはそれとして受け止めているから、別に構わないわ。私は天使ではないけど、悪魔でもなくて、その中間にいる人間。でも、役柄で悪女はやってみたい(笑)。

――人を殺しちゃったり?

刺しちゃったり?

――後ろから?

それ、酷すぎるかも(笑)。ドラマティックで今までと違う役には挑戦したいかな。

――パフュームやクロージング・ラインといったサイド・ビジネスをしないのはどうしてですか?

これを言っちゃうと反感を買うかも知れないけど……みんな、何かを作りたいという情熱からではなくて、お金儲けのためにやっていると思うから。私は、何かをするなら強いパッションがないと動けない。やるのであれば本気で取り組みたいし。ファッションは大好きだから、絶対にやらないとは言わないけど、近い将来はない。パフュームの方が可能性はまだあるけど、自分が納得できるようなものでないと。それより、テレビや映画のプロデュースの方が興味あるの。

――自分でプロデュースをして、演技もするのですか?

すぐではないわ。まず、プロデュースの経験を積まないといけないし、思ったより大変で熱湯に手を入れるような事態になるかも知れない。音楽もあるから、いっぱいいっぱいになるわよね。急激に太ってから痩せた方法をみんなに訊かれるから、ダイエットの本とビデオは出すつもり。食事法とエクササイズの方法を紹介するの。

――次のツアーの準備には入ってますか?

リハーサルにはまだ入っていなくて今はアイディアを固めているところ。ツアーは来春になる予定よ。

――かなり準備をかけるんですね。

大体、リハーサルの初日からツアーの初日まで2ヶ月半かけるわね。

――ツアーに参加する人達は大体いつも同じ?

前から組んでいる人も、新しい人もいるわね。すでにほかの人のツアーに参加していて、スケジュールが合わないときは諦めないといけないから。ツアーで回るのはファミリーみたいなものだから、私のためにほかの人のツアーに穴を空けるようなことはして欲しくないの。

――この20年間で一番良かったことは?

私は旅行が大好きだから、いろいろな国を訪れて、人々に会って文化に触れる機会を持てたことかしら。

――日本に行くときに特にしたいことはありますか?

とにかく、しばらく滞在したいかな。日本は大好き。去年も、どうしても行きたくなって、前に私のダンサーを務めてくれた友達に無理を言って、みんなでスケジュールの調整をしたんだけど、実現できなかったの。1、2週間、特に何もしないで過ごしたい。クラブやレストランに行くのも好きだし、街中を車で走ったり、新幹線に乗ったりするのも好き。いつも都会しか行けないけど、田舎にも行ってみたい。そこで働いている人達の様子を見ると、素晴らしいなぁって感じるの。

――ファンへのメッセージはしょっちゅう聞かれるとは思いますが、今回は特にあなたの音楽を20年近く聴き続けてきたロイヤルなファンに向けて一言もらえますか?

20年は決して短い時間ではないから、ありがとう、という言葉しかない。その間、誰かを応援してその人の音楽を聴き続けるのは大変なことよ。私のファンは忠実ですばらしい人達ばかりだから、とても幸せに思うし、感謝しているわ。

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以上だ。18年前であるため「女優」といった今では使わない言葉もあるが、そのままにした。直前に聴いてそのまま取材する、当時多かったセッティングだったため音楽的に突っ込んだ質問はできていないが、結果的にジャネットのプライベートについて尋ね、運良く答えてもらっているのでよしとする。

注釈を加えると、『Design of A Decade』は1995年にリリースしたベスト・アルバム。また、ルーサー・ヴァンドロスとは、「The Best Things in Life Are Free」(1992)で美しいデュエットを聞かせている。「今、届いているのは、とても大きなプロジェクトで総合が必要みたい」と言っていたのは、タイラー・ペリー監督『ジャネット・ジャクソン in 最強の夫婦(原題;Why Did We Get Married)』だろう。ジャネットは弁護士役で、結局「グッド・ガール」の役どころだった。

ダイエットに関する本は、自伝の要素と半々の『True You』を2011年に出した。当時、仲睦まじかったジャーメイン・デュプリとはその後、破局。カタール人の大富豪、ウィサム・アル・マナと結婚、離婚、長男の出産を経て、デュプリとまた友情を深めていると伝えられる。18年とは、それだけ長い月日なのだ。

離婚後、ラスヴェガスのレジデント公演『Metamorphosis』を大成功させ、今年はドキュメンタリー『ジャネット・ジャクソン 私の全て』で再評価が高まっているジャネット・ジャクソン。音楽や曲で彼女の軌跡に触れるとそのスーパー・スターぶりだけでなく、人生の浮き沈みを乗り切るヒントを得られる稀有な存在だろう。

Written By 池城美菜子

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**ジャネット・ジャクソン『JANET JACKSON Japanese Singles Collection』
**2022年8月24日発売

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