見えないピークアウト… 小児科 医療現場の悲鳴 コロナ×RSウイルス×手足口病

ピークアウトが見えない新型コロナ。医療機関には連日、大勢の患者が押し寄せています。中でも小児科は…。

RCC

小児科医
「RSウイルスとか手足口病とか、とにかく白黒はっきりさせたい人が多い」

RCC

診察に訪れるのは、新型コロナの感染者だけではありません。医療現場がひっ迫しています。きょうのテーマは、『まもなくお盆… 医療現場をひっ迫させないために考えたいこと』

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新型コロナ第7波のピークアウトが読めない状況です。広島市の1週間ごとの感染者の数を見ても、このところ、右肩上がりとなっています。

お盆を前に子どもを連れての旅行や帰省をどうすべきか、今まさに考えている方も多いと思いますが、子どもの感染者数も相変わらず多いのです。広島市で10歳未満の感染者を見ても右肩上がりの状況です。

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この時期、子どもにはコロナとは別の感染症も流行します。小児科の医療ひっ迫が深刻になりつつあります。

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広島市中区のこばたけ小児科医院です。午前の診察が終わる間際に訪ねてみると…。

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小林康秀キャスター
「小児科には駐車場がいっぱいになるほど多くの患者が詰めかけています」

発熱のある患者は、事前連絡が必要です。外で待機して、玄関とは別の勝手口から入ることになっています。

こばたけ小児科医院 小畠牧人院長
「こちらが、発熱している患者を診察する部屋です」

RCC

この医院では、発熱がある患者とそうではない患者をゾーニングして診察をしています。

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発熱患者が多いときは、さらにパーティションを作って対応しているということです。

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小畠牧人院長
「だいたい1日に発熱外来で約20人の方が受診されている状況です」

新型コロナの感染が明らかになった場合、医療機関はすべてを保健所へ報告することが義務付けられています。

RCC

小畠牧人院長
「保健所に電話で連絡をして、その後、HER-SYS(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム)というシステムにコンピュータで入力をするんですけども、1件1件はそんなに大きい手間ではないんですけども、やっぱり件数が多くなってくると、医療の実際の現場の仕事を非常に圧迫してくる」

RCC

小児科の負担が増している理由は、ほかにもあります。この季節、子どもに流行する別の感染症もあるからです。

RCC

小畠牧人院長
「熱が出て、その熱の原因は知りたいと。特に今、新型コロナもはやっているし、RSウイルスや手足口病などの病気もはやっていますので、とにかく白黒はっきりさせたいという人がやっぱり多い」

RCC

小畠院長によりますと、RSウイルス感染症とは、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症で、多くは1歳までに感染し、3歳までに最低1回は感染します。発熱や鼻水などの症状が数日続き、重症化すると呼吸困難を起こすことがありますが、多くは軽症ですみ、年長児つまり5歳以上で問題になることはほぼないということです。

RCC

広島市では、先月中旬ごろから全国平均の2倍となる感染が続いています。こうした患者を含めると、こばたけ小児科医院で1日に診察する患者は今、120人から130人。

RCC

小畠院長は、さらなる医療機関のひっ迫を避けるため、診察を受ける前に診察が必要なレベルかどうか慎重に考えてほしいと訴えます。

RCC

小畠牧人院長
「基本的にRSウイルスが重症化するのは、乳児・1歳未満です、一般的には。健康保険上もRSウイルスの検査ができるのは、1歳未満ということになっています。来られても症状が軽いので検査する意味もないですし、健康保険の適用もないので検査ができないということもあるんですけども…」

RCC

小畠院長によりますと、RSウイルスに感染していたとしても安静にした状態、あるいは少し動いたぐらいで息苦しそうでなければ、それほど心配は要らず、受診する必要はないということです。

小畠牧人院長
「実際にひどい症状になっていなければ、治療方針はカゼと一緒なので、保育園や幼稚園の先生にもあんまり検査してほしいというふうには言ってほしくはないのです」

そして、新型コロナ感染が疑われる場合の対応についても…。

RCC

こばたけ小児科医院 小畠牧人院長
「今の状況だと医療現場がパンクしてしまうのが予想される。明らかに症状が軽くて、ふつうにご飯を食べる。元気である。息も苦しくないという場合には、ちょっと一晩、様子を見てもらって、お盆が明けてからかかりつけの先生のところを受診するということも1つ選択肢として考えてもらってもいいんじゃないかと思うんですね」

RCC

― これまでとは考え方を変えないといけない時期なのかも知れません。とはいえ、やはり心配だし、受診したい場合もあります。心配であれば当番医など受診してほしいし、「#8000」番で小児医療の相談窓口もありますので、有効に活用してほしいということです。

RCC

― 新型コロナの相談・受診の目安についてです。感染症学会などによりますと、▽37.5℃以上の発熱が4日以上続く、▽水分がとれない、▽呼吸が苦しい、▽ぐったりして動けない、▽乳幼児で顔色が悪い、▽ワクチン未接種、こうしたケースは迷わず受診してほしいということです。参考にしてください。

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