【記者解説】「土砂が大量で撤去できない、お金がかかる」などの言い訳も…静岡県内の“違法盛り土”はなぜ横行するのか?その実情や理由とは

熱海の土石流災害によって注目が集まった違法な盛り土ですが、静岡県内の状況はどうなっているんでしょう?

<山本太朗記者>

県内では2022年5月末の時点で193カ所の違法な盛り土が確認されています。この中で問題になっているのが、指導中とされている141件です。この多くが今回逮捕された業者のように、行政の指示には従っていません。

県内、特に富士山麓などは広大な土地があり、違法な盛り土造成が横行していたというのが実情ですが、盛り土の撤去を指摘された業者側は行政の追及に対し、土砂が大量で撤去できない、お金がかかるなどの言い訳を並べていて逃げようとするそうです。

自分たちで違法な行為をしているのにずいぶん身勝手な言い訳ですね。行政指導に従わない理由は実際のところ、どんなことが考えられるんでしょうか?

<山本太朗記者>

もちろん、それぞれの事情はあるのでしょうが、県の担当者は「土砂の受け入れで金儲けをしているから」という点を挙げています。8月9日に逮捕された業者も、少なくとも土砂の受け入れで4000万円を稼いでいたと見られています。

これまでの盛り土規制の条例では懲役刑がなく、20万円以下の罰金と罰則が軽く、残土処分を巡る闇ビジネスが横行しやすい環境となっていました。しかし、熱海土石流災害を受け施行された新たな条例のもとでは、懲役刑や罰金額も引き上げられています。

土石流災害を繰り返さないために、県内では制度と監視の両面を強めているのが現状です。県は「盛り土110番」も設置し、県民からの情報提供も募っていますので「この土の塊は大丈夫かな」と疑問に思ったら連絡してみてください。

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