下落相場の時に「つみたてNISA」を始めても大丈夫なのか−−7.5億の資産を築いた投資家の答えは?

コロナ禍でつみたてNISAの加入者が増えましたが、下落相場では「これから始めていいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか?

7.5億の資産を築いた投資家で実業家の八木エミリー( @emily_yagi )氏の著書『放置しておくだけでふつうにお金が増える投資術』(ビジネス社)より、一部を抜粋・編集して「つみたてNISA」について解説します。


NISAを始めるなら「今」

2020年からのコロナ禍で多くの人が資産運用について真剣に考えるようになり、つみたてNISAを始めた人がとても増えました。

この2年はコロナの影響で傷んだ経済を立ち直らせようと、補助金が出たり、金融緩和をしたりと、世の中にお金が余っていたんですね。その余ったお金で株が買われて、株価が右肩上がりに上昇しました。株だけでなく不動産も仮想通貨も上がって、ほとんどの人が投資でいい結果を出せていたと思います。

ところが2022年になり、アメリカが金融緩和縮小の段階に入ったり、ヨーロッパで戦争が始まったりして、日本でも株価が下がっています。ここ2年で投資を始めた人にとって、初めて下落相場を経験しているわけです。

しかし、株価が下がっている今こそ、積み立て投資を始めるチャンスです。

ボラティリティ(価格変動)があったほうが、積み立てにはおいしいのです。

まだつみたてNISAを始めていない人はすぐに始めてください。

狼狽(ろうばい)売りは絶対にやってはダメ

つみたてNISAをやっている人は、連日株価がダダ下がりしているのを見ると怖くなって売りたくなるでしょうが、狼狽売りしてはダメです。つみたてNISAを損切で売るというのは、ただ損しただけなんですよ。

株価が上がりっぱなしだった時期を経て、やっとこのときが来た! というくらい、今が絶好のチャンス。同じ金額でたくさん買えますから。

何度も言いますが、つみたてNISAは今は売りではなく、買いのタイミングです。

焦る心を抑えて、静観してくださいね。

つみたてNISAにおすすめの商品のポイント

つみたてNISAを始めるにあたって悩むのが、どんな商品に投資すればいいのかですよね。私がチェックしているポイントは次の5つです。

POINT(1)インデックスファンドがおすすめ

「インデックスファンド」とは、市場平均への連動を目指す運用スタイルのことです。

株式なら株式、債券なら債券の平均値に合わせるような動きを目指し、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)、アメリカのダウやS&P500といったベンチマークに連動させて、プロがファンドに組み込む株式の入れ替えなどを行います。

インデックスファンドはファンドを動かす手間が容易なため、手数料が安いのでおすすめします。

ベンチマークを上回るような運用成績を目指すスタイルが「アクティブファンド」です。こちらは運用が難しく、そこに対してコストがかかるため手数料が高めです。

ちなみに投資信託では3つの手数料がかかります。

(1)信託報酬:運用にかかる手数料。銘柄を保有している間ずっとかかるので、必ずチェックしてください。信託報酬が1%以上の銘柄は、コストが高いので避けるべき。

(2)購入時手数料:購入するときにかかる費用。つみたてNISAではすべて無料(ノーロード)です。

(3)信託財産留保額:解約の際にかかる手数料です。

POINT(2) 投資対象は「株式のみを対象とした投資信託」

投資信託には、企業の株式のみを対象としたものと、株式、債券、REITなど複数資産を対象とした「バランス型」があります。

少額をコツコツ積み立てるなら、リスクが高めだけどその分リターンも狙える「株式のみを対象とした投資信託」がおすすめです。

POINT(3) 投資地域は「全世界」

投資信託では、銘柄ごとに投資対象の地域が決まっています。

日本、全世界、米国、先進国、新興国とあり、私のイチオシは全世界です。もちろん米国対象の商品はGAFAMなどグローバル企業の牽引によって、これまでの実績はリターンが高いです。しかし、世界株にはアメリカのほか、日本、そしてインドや中国など、これから伸びしろがある国々が入っています。長期に投資する場合、より期待が持てるため、米国か全世界かどちらか一つを選ぶなら、私は全世界を選びます。

POINT(4) トータルリターンはどのくらいか

過去の投資で得られたトータルの収益が総合的にどれだけあったのかを示す数字です。ただし、インデックスファンドに投資する場合は、あまり気にすることはありません。

もしアクティブファンドに投資するのであれば、インデックスファンドの実績よりトータルリターンが高い数字であることが求められます。そうでないと、手数料の高いアクティブファンドに投資するメリットはなくなってしまいます。

手数料を考えると、アクティブファンドとインデックスファンドのリターンの差が4%はほしいところです。

POINT(5) 投資残高(純資産残高)が多い

投資残高(純資産残高)とは、投資信託の規模を示す数字です。多くの人が買う投資信託は、当然投資残高が増えていきます。つまり、投資残高が多い=その投資信託の人気がある、ということ。人気のある投資信託には、優秀なファンドマネージャーがつくので運用成績も期待できます。

ただし、純資産残高が大きくなりすぎると、投資先がどうしても時価総額の大きな大型株に偏ってくることは知っておいてください。

つみたてNISAの商品(1)「投資信託」は株や債券のバラエティーパック

「投資信託」とは、投資家から集めたお金を一つの資金としてまとめ、「ファンドマネージャー」と呼ばれる資金運用の専門家が株や債券、不動産、コモディティなどに投資し、運用する商品です。

株式のみを対象とした投資信託なら、いろいろな企業の株を詰め合わせセットにした〝株のバラエティーパック〟のイメージです。

多数の投資家がお金を出し合うので安く買える

たとえばトヨタ自動車という企業の株だけしか買わないとしたら、自分の資産をトヨタ自動車1社だけに委ねていることになり、かなりハイリスクです。たまごを一つの籠に盛っている状態ですね。

しかし株の投資信託にしたら、トヨタという株も、ソフトバンクという株も、ファーストリテイリングという株も楽しめます(どんな会社の株が入っているかは、その投資信託によります)。リスクを分散できるんですね。

また、株の中には値段が高すぎて買いたくても手の届かない銘柄がたくさんあります。でも投資信託は多数の投資家がお金を出し合うので、高額な株でも安く買うことができます。

つみたてNISAでは、国内の投資信託だけでなく、海外の投資信託を買うこともできます。

つみたてNISAの商品(2)「ETF」は上場している投資信託

ETFを日本語に訳すと、「株価指数連動型上場投資信託」(Exchange TradedFunds) です。一般の投資信託は東京証券取引所などに上場していませんが、ETFは上場している投資信託です。

ETFが目指すのは指数に連動する運用成績

ETFが目指しているのは、日経平均株価(日経225)や東証株価指数(TOPIX)といった「指数」に連動する運用成績です。

投資信託のインデックスファンドとそっくりですよね。

でもETFは上場しているので、マーケットが開いている間は株と同じように売買できます。

アメリカ株の代表的な指数「ダウ平均株価」や「S&P500指数」に連動させている銘柄もあります。

また、銘柄の前に付いているMAXIS、ⅰシェアーズ、ダイワといった言葉は運用している会社の名前です。同じ指数に連動させていても、運用会社によって手数料が違ってくるのでチェックしてみてくださいね。

イラスト (C)林 香世子

著者 八木 エミリー

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