3年生、夏物語2022 vol.3 テニス女子 コツコツと努力を重ねた3年間が結実した野口愛菜(福徳学院3年)

テニス女子の全国高校総体では団体、個人シングルス、ダブルスの全種目に出場した。厳しい暑さが続く中、149cmの小さな体でコートを駆け回る。「フィジカルで劣るなら気持ちでは絶対負けない。どんなボールにでも食らいついて粘る。それが自分のスタイル」。そう言い切れる強さがある。福徳学院の野口愛菜(3年)はシングルスでベスト8、ダブルスでベスト16入りした。

粘り強いラリーを身上とする。コートの左右に大きく振られても、得意のストロークやクリアで懸命に押し返す。しびれを切らした相手の返球が甘くなったのを見逃さず、ネット前でプレッシャーをかけにいく。「打って、待って、どっちが先にミスをするのか我慢比べ」(野口)の展開は時間を要する。3種目出場した野口にとって、最後のシングルスは体力の限界だった。それでも最後まで懸命にボールを追い、コートで走り続けた。曜日崇監督は「相手も粘り強くプレーしたので焦りが出たのかもしれない。大型選手がパワーテニスをしてくる中、よく頑張った。出せる力を出し切ったと思う」といたわった。

粘り強いラリーを武器に戦った野口愛菜

毎日コツコツと努力を重ねた3年間だった。「体は小さいが、それを言い訳にしたくない」と、誰よりも早くコートに来て練習に取り組んだ。外部トレーナーの指導を仰ぎ、スクワットや足上げ腹筋で体幹を鍛え、股関節の可動域を広げるためのストレッチは帰宅後に毎日続けた。通学の電車では、その日の練習メニューや自分が感じたことをノートに記し、試合があった日は再戦に備えて対戦相手の特徴を記録した。努力は報われ、全国高校総体前にあった九州大会では個人シングルスで九州王者になる快挙を達成した。

曜日監督は「努力家であり、自分で考えてプレーできる選手。何より楽しそうにテニスをする。それが彼女の魅力」と話す。高校最後の全国高校総体では「楽しんでテニスをしてこい」とだけ言って見守った。野口は伸び伸びとプレーし、全日程を終えた。「団体で結果を残せなかったのは残念だが、シングルスでは目標だったベスト8を達成できた。やり切った、悔いはない」と振り返った。全国高校総体を終え、テニスノートには「キツい練習もみんなで声を掛け合ったから乗り切れた。試合のときもみんなの拍手が後押ししてくれた。ありがとう」と記した。

全国高校総体ではシングルス8強入りした

(柚野真也)

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