戦争どう継承 遺族会、全国で青年部創設も、世代交代は難しく

99歳で亡くなった母の写真を指さし、戦没者遺族への思いをはせる濱田望さん=海老名市

 終戦から77年、戦没者を悼む慰霊の形も姿を変えつつある。戦没者の遺児が高齢化する中で迎えた全国戦没者追悼式に、神奈川の遺族会として初めて「青年部」の会員が参列した。孫やひ孫らでつくる青年部の創設は全国で相次ぐものの、会員数は広がりを欠き、新型コロナウイルス禍が活動の幅を狭める状況だ。国民の9割が戦後生まれとなった今、戦争の記憶を風化させない継承のあり方が問われている。

 「さあ、これからというときに新型コロナの影響で全く活動ができなくなった」。県遺族会青年部の濱田望部長(65)は唇をかむ。 

 県遺族会が青年部を設立したのは2020年3月。日本遺族会が17年3月に青年部を結成したことを受け、現在までに神奈川を含む38支部で活動を始めた。

 戦没者の孫やひ孫世代が戦争の悲惨さと平和の大切さを次世代に受け継ぐのが狙いだが、世代交代は難しいのが実情だ。

 神奈川の青年部会員は40~50代を中心に約40人。戦没者のおいにあたる濱田さんら役員6人が活動の中心を担うが、「多忙な現役世代なので遺族会本体の活動を全て引き継ぐことは難しい」と打ち明ける。それでも「遺族の心情や思いを伝えたい」と、今後はインターネットやSNS(交流サイト)で遺族らの戦争体験を発信するつもりだ。

© 株式会社神奈川新聞社