レッドブルF1代表、チームの最高の勝利として2010年アブダビGPを選出「セバスチャンの優勝は完全に予想外だった」

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、F1でレッドブルの84回の勝利を目撃してきた。彼の記憶のなかではひとつの並外れた勝利が際立っており、F1におけるチームの最高の勝利として、2010年の最終戦アブダビGPでセバスチャン・ベッテルがタイトル獲得を決めた勝利を選んだ。

 フェルナンド・アロンソ(当時フェラーリ)は、アブダビでのシーズン最終戦を前にドライバーズ選手権でベッテルに15ポイント差をつけていたので、タイトル獲得が期待されていた。しかしながら、ベッテルは予選でポールポジションを獲得して最初から力を見せつけた。一方のアロンソは3番グリッドとなり、最大のライバルの後方に並んだ。

 アロンソは3度目の世界タイトルを獲るのに4位に入ればよかったのだが、結果は7位と及ばなかった。アロンソがロータスのビタリー・ペトロフと戦っている間に、ベッテルは優勝と初戴冠へと進んでいき、23歳にしてF1史上最年少の世界チャンピオンになった。

「セバスチャンがアブダビでの最終戦で優勝することは、おそらく完全に予想外だったからだろう。それに彼は、2010年は1年を通して選手権をリードしていたわけではなかったということもある」と『Cambridge Union』からレッドブルの最高の1日について尋ねられたホーナーは語った。

「フェルナンド・アロンソはあのレースの優勝候補で世界タイトル候補だった。文字通り不利な状況のなかでセバスチャンは優勝し、フェルナンドとマーク(・ウエーバー)が彼の後ろでフィニッシュしたのだから、世界チャンピオンになるのに十分な結果だったと思う。完全に予想外だった」

2010年F1第19戦アブダビGP 自身初のドライバーズタイトルを獲得したセバスチャン・ベッテル(レッドブル)

 現在レッドブルに所属するマックス・フェルスタッペンは、F1での28回の勝利のすべてをレッドブルで獲得している。ベッテルがレッドブルで挙げた38勝にはまだ及んでいないが、このふたりのドライバーを比較するよう求められたホーナーは「彼らはまったく違う」と語った。

「セバスチャンはごく細部にまで気を配る。データの要素すべて、マシンに起きていることすべて、マシンのコンポーネントすべてにおいてだ」

「彼が最後にサーキットを後にすることはよくあった。そして彼の報告はというと、フォーメーションラップの説明だけでも30分かけたものだ。ましてレースときたらどうだろう」

「一方、マックスははるかにシンプルだ。彼は生の才能そのままにレースをしている。私が出会ったなかでも彼は一番ハングリーなドライバーで、ただ勝ちたいと思っている。彼はレースエンジニアに対して非常に率直で、単刀直入にフィードバックを返してくる」

「そしてすべてのラップで彼は110%の力を出し、同じことをチームにも要求している」

「だから彼らはまったく違った個性の持ち主で、性格も完全に違う。だが彼らには野望というひとつの共通項があると思う」

2022年F1第13戦ハンガリーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

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