行動制限ないお盆休み、栃木県内の観光地は… 「一喜一憂できない」の声も

観光客でにぎわう世界遺産「日光の社寺」の表参道=11日午前11時50分、日光市山内

 新型コロナウイルス禍で3年ぶりに行動制限がないお盆の期間を終え、栃木県内の観光地からは前年に比べ人出の回復を歓迎する声が相次いだ。コロナ禍前の客足には届かなかった施設の一方、「売り上げはコロナ禍前を超える勢い」と明かす店舗も。県内の感染者数は高止まりし、「第7波」の収束は見通せない。書き入れ時の夏休みシーズンは後半戦に入った。関係者は「一喜一憂できない」とし、観光地では警戒を緩められない状況が続く。

 日光市山内の世界遺産・日光東照宮は、13~16日の参拝者数が約3万3200人となり、前年同期の約1万6400人から倍増した。担当者は「人出が戻るのはありがたい」。ただ、参拝者数はコロナ前に比べ7千人ほど少ないという。

 佐野市越名町の佐野プレミアム・アウトレットでは、客足は昨年のお盆期間を大きく上回った。しかし、連日の猛暑や台風8号の影響もあり、担当者は「期待値には届かなかった」と受け止める。第7波がどうなるかは見通せず、「客足に一喜一憂はできない」と気を引き締めた。

 行動制限がなかった影響で、今年のお盆は人の動きが昨年を上回った。JR東日本大宮支社によると、10~17日のJR宇都宮駅の利用者数は5万8千人で、前年比42%増となった。

 宇都宮餃子(ぎょーざ)会の直営店「来らっせ本店」(宇都宮市馬場通り2丁目)は夏休み期間に入ってから連日、観光客でにぎわっている。鈴木章弘(すずきあきひろ)事務局長(50)は「人出の多さに驚いている」と歓迎。感染対策で席を2割ほど間引いての営業だが、「売り上げはコロナ禍前に並び、超える勢い」と手応えを話す。

 家族連れが主な客層の那須町高久丙「ロイヤルホテル那須」も、客足はコロナ禍前まで回復しているという。ただ、県内でも感染拡大が続いており、企画広報部の高久一志(たかくかずし)次長(38)は「緊張感が常にあるお盆だった」と振り返る。今後について「今以上に感染が一気に拡大して、何らかの『宣言』が出されないかが心配」と本音を明かした。

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