「『突破力』を活かして改革を進める」「国民目線に一番近い政党、それが維新」日本維新の会代表選・候補者インタビュー 梅村みずほ氏

選挙ドットコムでは8月27日に行われる日本維新の会代表選の立候補者3名にインタビューしました。本記事では梅村みずほ氏へのインタビューを掲載します。

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「維新には若い人材、有能で多様な議員がこんなにたくさんいる」というところを皆さんに見ていただきたい

Q: 今回の代表選に立候補した理由を教えてください。

私は国会議員になって3年目、当初は「まだ早い」と思い代表選に立候補するつもりはありませんでした。ただ色々と妄想はしていまして、誰が代表選に出たら楽しいかな……やっぱり新しく抜擢された党三役だろう……!とは考えていました。藤田幹事長、音喜多政調会長、柳ケ瀬総務会長……この3名が出てくるだけでも相当面白い選挙になるだろうとワクワクしていたんですね。

日本維新の会は地方を大事にする政党ですから、地方出身の国会議員、地方議員、首長……代表選の候補がたくさん出て「維新には若い人材、有能で多様な議員がこんなにたくさんいるんだな」というところを皆さんに見ていただきたいと思っていたんですね。

昨年の衆院選の後の時期に維新の代表選が行われるかも、というときには足立さんや音喜多さんがいち早く「あるんだったら出ようか」とSNSで投稿されていたので、今回の代表選でもそういった動きがあるだろうと思っていたんですけれども、なかなか手を挙げられる方が出てこなかったんですね。SNS周りでは「なんだかちょっと静かだなあ」「誰も出ないのかなあ」とか、私もそういった方々の不思議な気持ちに共感していました。維新がこれからどんどん飛躍していかなくてはならないタイミングでの代表選を盛り上げていかなくてはならないのに、せっかくのチャンスを逃しているんではないかと焦る気持ちも抱いてきました。

そして折しも私が新型コロナウイルスに感染してしまったために代表選について考える時間があったんですよ。誰も手を挙げない現状を見て、たくさんの方に出てきてほしい、女性候補も立ってほしい、と考えていました。

日本維新の会は男性が多い政党というイメージはありますが、女性で頑張っている議員も地方議員を含めてたくさんいる中でどなたがいいだろうか、先輩の石井苗子さん、高木かおりさん、国会議員では大変お世話になっている先輩に立候補をお願いすることも考えました。しかし私は「自分がやります!」と手を挙げる人のほうが好きなんです。

そして色々考えるうちに、「党を変えたい、あんな風にしたい」という私自身の気持ちに蓋をする必要はないんじゃないか。改革したいことが党内にあるのなら、若手議員でも30人の仲間さえ集めたら代表選に出れるというユニークなルールを使わないのはもったいない。じゃあ私も出ていいのかな……出たらどうなるだろうか……出ようかな、出たいなあ……という風にコロナ禍の中で思いを固めていきました。

私がいの一番に手を挙げることで、「一期目の梅村さんが出るなら私も出ます、僕も出ます」という人がたくさん出ると嬉しいなと思い、ファーストペンギンになろうという気持ちも相まって、今回の代表選への立候補に至りました。

党内に傲り、弛み、緩みはないか?「国会議員の多選禁止」で党内の人材を循環させていく

Q: 今回の代表選にはどのような戦略で臨んでいますか。掲げている公約を教えてください。

戦略の立て方が大変難しい選挙だと思っています。通常の選挙では街に出て訴えをして、握手をし、そしてビラを撒く、というように街に出れば有権者さんがいます。一方で党内の代表選は街に出ても有権者さんがいないんですね。

なので、実際に街頭でマイクを握るというのは党が用意してくれた演説会がメインになります。そして私たちがやるべきことは特別党員―議員や支部長の方々のアプローチです。馬場候補は306人―特別党員の半分以上の推薦人を集められているので(私としては)かなり厳しいんですけれども、推薦人の皆様と協力して党員の方に一軒一軒電話をかける、時には事務所に赴いて頭を下げる、一方で代表選の投票権を持っていらっしゃらない一般の方や一般党員の方でも私が直接伺えない方には、SNSでの発信を通じて声を届けていく、というのが私の選挙戦です。

公約は党内改革です。常に自民党さんに対して「傲り、弛み、緩みがあるんじゃないですか」という厳しい指摘をさせていただいているんですけれども、では翻って日本維新の会の党内には結党から10年が経って傲り、弛み、緩みはないですか?できる改革は党内でないんですか?と考えるとまだまだ改革の余地があるんですね。

例えば、私たちは街に出て皆さんに「オープンでクリーンな政治をやりたい」と訴えています。だから企業団体献金はもらわずに組織票で当選させてもらうということはしませんし、文通費や政務活動費の使途を公開して、できるだけ皆さんにお金の流れを透明化しようとしてきました。

それが党内でできていない部分があるんですね。幹部の方が使っているお金です。31億7千万円の政党交付金が日本維新の会には入ってきます。その巨額のお金から色んなところに割り振られて、国会議員団にもお金がたくさん入ってくると。
その中で使途は公開されているんですけれども、個人に入るお金というのがあるんです。代表や共同代表、幹事長、幹部決裁のお金ですね。それが何に使われているのかというのがブラックボックス化しています。全てオープンにはできないと思います。この候補にどうしても維新から出てほしい、というときにはバックアップも必要でしょうし、テーブルの下で手を握るような会談の場で使う料亭での飲食も当然あってしかるべきです。

ただ全ての領収書をオープンにはできなくても、極力クリーンにしていく。あるいは年間いくらくらいいただいているのか、できる限り透明化・クリーン化していきたいと思います。

身分の固定化が起こると既得権益というものになります。党内で身分の固定化、とは何か。誰かが一旦国会議員になると毎回その人が選挙に出てきます。すると国会議員になりたいのにな、と思っている地方議員さんのチャンスが減ってきますよね。ですので、国会議員の多選禁止というのも公約に掲げています。

例えば、参議院は2期12年、衆議院は在任12年を超えた次の選挙まで、と線を決めます。やはり政治家を続けたいという方は多いですし、キャリアを積むというのは重要なことなので、国会議員になって12年経ったら首長や地方議員にチャレンジする、といった流動化を推し進めます。

では総理になるのも12年以内で、と縛るんですか?と思われるかもしれませんがそうではなく、例えば国会議員1期の後には首長を務めてまた国会議員に戻る、というのはOKという形にしたいと思っています。

多選禁止をすることで、別の視点から見ることができるようになるんですね。国会議員と首長で視点が違うということがあるんですよ。例えばコロナ禍。私たち国会議員は普通の生活を取り戻そう、ということで感染症の分類を2類相当から5類相当にしましょう、という提案をいち早くしました。一方で大阪府知事の吉村さんは「ちょっと待ってくれ、今分類を見直されたら大阪はこういう理由で困る」という事情がある訳です。

でも国会議員ばかりやっていてはそういったことがわからない。首長や市議、都道府県議を経験すると多角的に政治を見ることができますね。そういった意味でも多選を禁止して、人材を党内で循環させれば、地方よし、中央よし、首長よし、というフラットな政治ができるのではないかと思っています。

常に走りながら考え、成長していく「突破力」が自分の強み

Q: 他の候補者と比べて、自身の特徴や強みは何でしょうか。

「突破力」「挑戦する力」は一期生ながら代表選に立候補している訳ですからあると思っています。3年前の参議院選挙に立候補したときもそうでした。まったく政治のことを知らなかった普通の働く母親でした。しかし「日本をよくする仕事は政治家なんでしょ、じゃあ必死に勉強するからやらせてください」と言って挑戦しました。

いつも走りながら考え、学び、成長する、というタイプの人間なので、今の時代の流れの加速度的なスピード感に合っていると思っています。ゆっくりじっくり慎重にやりたい気持ちはありますが、それが許されない社会情勢です。時代を読んで行動し、飛び込まないと置いてけぼりになってしまう時代だと思うんです。

私は女性ですのでその時々で働き方も変えてきました。出産・育児・仕事……その次に何をやるのか、どう働くのか、子どもが大きくなったらどんな働き方ができるのか。自分なりに考えてフレキシブルに方向転換をしてきました。

Q: 他の候補者にはどのような特徴がありますか。ご自身から見た印象を教えてください。

足立候補はなんといっても政策通ですよね。官僚出身でいらして、論筋が「美しい」んです。本当にブレない。足立さんが思いつく限りの法律と法律のバッティングがないように考えて、これなら制度として世に出したときに混乱が起こらないな、と美しい論を立てられる方なんですね。この点で党内で右に出る人はいないくらい足立さんの政策は美しいんです。ちょっとやんちゃなところもあります(笑)

そして、めちゃくちゃ優しい。足立さんは「維新の狂犬」と呼ばれることもありますが、心根はすごく優しい方なんです。なので足立さんの筋が通った美しさをちゃんと認めていただける環境があればあんまり荒ぶることはないと思うんです。

足立さんも悩まれていると思うんです。悩まれているけれど人間って百点満点の人っていないから、それが魅力のところもあると思うんですね。足立さんの牙を抜いたら面白くなくなっちゃうかもしれないよ、というのもあるかもしれません。

今回の候補も百点満点の候補はいなくて、皆さんお一人お一人の共感が得られるのはどなたかな、という話だと思っています。
もちろん馬場さんには推薦人の数が306名いらっしゃる訳ですから私の10倍得票を取られるんじゃないかなと思うほどの厳しい選挙戦です。しかし若手が堂々とチャレンジできる環境を整えていただいたので、今回の代表選がチャンスと思っているんだったら出なければならないと思いました。そんな制度を作ってくれたのは橋下さん、松井さん、馬場さんのような先人たちです。

馬場さんはとても優しい「情」の方です。時々厳しいところもありますが。そんなところが松井さんと重なるお人柄もあります。

3年前の参院選の投票日のことです。選挙戦が終わり結果を待つ投票日って候補者自身は暇なんですよ。もうできることなんてありませんので、家の中で子供とたわむれながら魂はここにあらず、どうなるんだろうと思っている時間を過ごしていました。
そうしたらお昼ぐらいに「この時間がしんどいんだよね」と馬場さんからショートメールをいただいたんです。ご自身も何度も選挙を経験されている中で、ふっと軽くなる言葉をいいタイミングで送ってくださる優しく温かい方だな、と。馬場さんに一番面接の時間を取っていただいて政治家になっているので本当に感謝と尊敬をしています。

4年前まで無党派層だった私のような人も振り向く「国民に一番近い政党」が日本維新の会

Q: 他党と比べ、日本維新の会はどのような党だとアピールしますか。また「こうあるべき」という点があれば教えてください。

「国民に一番近い政党」それが日本維新の会だと思っています。私は4年前まで無党派層だったんですね。就職氷河期の2001年に私は大学を出て、たくさんの方が何十社も面接を受けて断られ、首をくくったという方もいた世代です。今さらになって就職氷河期の世代に就職しろと言ったって遅いわ、と思ってこれまで生きてきました。
子供を産んで保育園に子供を預けましょうとなったときに、お兄ちゃんの保育園に娘が入れられませんでした。当時私はフリーランスのアナウンサーをしていたのでプロパーの方よりも点数が低かったんです。
なぜ兄弟で別々の保育園に入らなければならないのか、フリーランスも大変なのにどうしてそこで区分けするんだ、と。運動会の日もバラバラ、お布団持っていく園と持っていかなくていい園、水筒の規定もそれぞれ違う。色んなものが違うルールの中で本当に大変なのに、政治家の人はどこを見ているんだ、と就職氷河期の後も思ってきました。

私たちのことなんか政治は考えていない、見ていないし、政治に期待していないよ、と思っていた私が政治をやるようになったのはなぜか。

維新は国民目線だからですね。身を切る改革もそうです。いいよね、国会議員の人ってお給料たっぷりもらってさ、偉い車に乗っているんでしょう、みたいなイメージはありましたが「自分の給料減らします!」えっ、減らすの、すごいじゃん!みたいな感じだし、

大阪では地下鉄のトイレがきれいになったり、西成区というちょっと治安が悪かったところの公園もテントハウスがなくなってきれいになったりしました。そういったところを知っていたので、政治って色んなことができるんだな、って。子供を産んで一層この子達の未来を明るくしなくちゃないけない、と。

「お父さんお母さんが政治に無関心だったからこんなことになったんじゃんか」と将来子供たちに言われたら私は土下座しないといけません。お母さんはこれだけあなたたちが生きていく環境を整えようと頑張ったんだよ、日本の子供たちに説明ができるように、頑張って政治をやりたいなと思っています。

なので維新は国民に近い、無党派層の私を目覚めさせてくれたくらい庶民感覚があると思っています。だからこそ既存政党化、すなわち自民党化してはいけない。だから内々に留まっていてはいけないんですよ。今もっと勢力を拡大しないといけない。血みどろの権力闘争も一定必要なところがあるかもしれませんが、それだと女性や若者が増えていかないので、もっとクリーンでオープン、掲げている看板のままを党内でやったらいいんです。今は看板と内情に少しずれがあると私は認識しているからこそ、代表選に立候補しています。そのズレをなくしていきたいですね。

若年層と女性への浸透が課題。ステップバイステップで候補者を増やしていかなくてはならない

Q: 7月の参院選をどう振り返りますか。日本維新の会が乗り越えるべき課題があれば教えてください。

議席倍増、とメディアさんには言っていただいていますが、実際党内では勝っているようで勝っていないような雰囲気です。それは最重点区と位置付けた京都も落とし、埼玉、福岡、愛知、といった「行けるんじゃないか」と期待されていたところも軒並みダメだったからですね。地方からしっかりと根を張った政治をできているのは結局のところ大阪だけだった訳です。
ですので、来年の統一地方選を含めたくさんの地方議員の皆さんにまずは根を張っていただかなくてはいけません。その後に芽を出し、花を咲かせていく、ということを考えると、着実にステップバイステップで候補者を増やしていかないといけないと痛感しました。

今月の選挙ドットコムさんの世論調査でもありました通り、10代20代で私どもは伸び悩んでいる、という現状を厳しく受け止めないといけません。他社の調査でも同様の傾向が出ています。党三役が若いから若者にも受けているはず、という慢心がありましたが現実は違います。

また、女性への政策の浸透も進んでいません。女性はもとより政治に無関心な方が男性に比して多いです。約半数がなんとなくわからない、どこに投票すればいいか決めていない、という状況で残りの半分を自民をはじめとした全てで取り合っている。私たちは立憲支持の人たちに維新を支持もらえるようにする、自民支持の人たちに、維新支持になってもらうということも重要だけれども、無党派の人―かつての私のような人にこちらを向いてもらえるようアプローチするのが一番早いと思っているし、やらなくてはいけないと思っているんですね。その辺を開拓していく、若者や女性にこちら側を向いてもらうのであれば、私は新しいリーダーとして他の候補のお二方よりも10歳以上若いですし、10代の息子もいますから、共感を得ていただけるのではないかなと思います。

今後乗り越えるべき課題は若年層と女性の支持の獲得と脱大阪です。「大阪主体の政党なんでしょ」「男性優位の政党なんでしょ」ということをよく言われます。実際はそうでなく女性もたくさんいます。ただ女性だからなんでも半分半分、という訳ではありません。例えば政調会に女性を半分半分、とすることはできないと思っています。

それはなぜか。男性には女性よりも政治家に昔からなりたくて法学部に通っていた、政経学部に行っていた、若いときから政治塾に通っていた……という人が多いのに比して、女性は教育の大切さ、女性として生きづらさ、といった生活者の視点から議員になる人が多いです。知識量がベースとして違うというのが往々にしてあるんですね。なので政調会に女性を半分、というのは逆に女性の立場からすると「よう言わん」です。

一方で党改革PTというのが今年ありましたが、そこに10人くらいいるメンバーのうち女性が一人、というのはおかしいですよね。実力があまり関係ないところ、感覚を生かしていくところにもっと増やすべきなのに受け入れられないというのはどうなの、と思っています。そこが実現しないなら男性主体だと思われてしまっても仕方ないですし、女性を活躍させようという気が感じられません。そこはブレイクスルーポイントだと思っています。

選挙ドットコムでは日本維新の会代表選候補者討論会を生配信します

今回インタビューした日本維新の会代表選の候補者3名の討論会を選挙ドットコムちゃんねるで19日21時より生配信します。こちらも併せてぜひご覧ください。

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