山本尚貴、完全復活。2年ぶりのポール・トゥ・ウインで地元もてぎ初制覇【SF第7戦決勝レポート】

 2022年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦・決勝(37周)が8月20日にモビリティリゾートもてぎで行われ、ポールシッターの山本尚貴が2年ぶりの勝利を飾った。2位に入ったのはサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)。予選3位の大湯都史樹がトラブルで戦線離脱後、ポジションを上げてきた野尻智紀(TEAM MUGEN)が3位となった。

 朝の予選はドライコンディションで行われたが、TCRジャパンシリーズ決勝レースの最中に雨が降り出したモビリティリゾートもてぎ。ウォームアップ走行時にはいったん止んでいたものの、スタート直前に再び降り出し、ウエットコンディションへ。スタート15分前にウェット宣言が出されると、セーフティカー(SC)スタートで37周の決勝レースが始まった。

2022スーパーフォーミュラ第7戦もてぎ SCスタートから4周目にグリーンフラッグを迎えた。

 3周を終えてSCが隊列を離れ、4周目にグリーンフラッグが振られる。先頭の山本は視界もクリアな中で危なげなく1コーナーをクリア。わずかに遅れてフェネストラズ、大湯、野尻、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とスターティンググリッドの通りに山本を追いかけていく。その後方ではcarenex TEAM IMPULの関口雄飛と平川亮の2台がハイペースでポジションアップに成功していた。

 関口は5周目に入ったところで前を走る松下信治(B-Max Racing Team)との差が0.4秒まで接近。なんとか関口の猛追をしのいでいた松下だったが、ヘアピンコーナーでオーバーシュートを喫し、これで関口は8番手に浮上した。一方の平川もポイント圏内の10番手まで順位を上げていたものの、7周目の4コーナー先でハーフスピン。再びポイント圏外へと後退してしまった。

 トップの山本はフェネストラズとのギャップを3秒近くまで広げ、順調に周回数を重ねていく。逆にフェネストラズは、11周目に大きくタイムを落としてしまい、逆に大湯に差を詰められる格好になってしまった。ただし、その大湯も0.7秒背後に野尻が迫り、気の抜けない状況が続いていった。

 14周目、ヘアピンコーナーで大湯が失速。この隙を逃さず野尻が大湯をとらえて3位に浮上した。大湯はスピードが戻らないまま、牧野、坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)、山下健太(KONDO RACING)らにもかわされてしまう。1コーナーの手前では、水煙で視界のない中で宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が大湯をぎりぎりで回避するような場面も。

 その後、2コーナーを過ぎたあたりでいったんレーススピードに戻った大湯だったが、再度スローダウンしピットへと戻っていった。チームメイトがトラブルに見舞われている間も、山本は安定したペースで周回。5秒以上に開いていたフェネストラズとのギャップは、20周を終了したところで3.6秒、25周目には1.7秒まで縮まったが、雨脚がやや強まってきたところで再びその差を広げていった。

 27周目、平川がビクトリーコーナーでコースオフ。グラベルにつかまってしまう。ここでレースはSCが導入され、31周目にリスタート。最終コーナーを抜ける直前までペースをコントロールした山本は一気にアクセルをあけ、フェネストラズを引き離してリスタートに成功した。再び強まった雨脚で、逆にフェネストラズはペースを上げられず。残り6周は山本がぐいぐいと差を広げていった。

 上位争いに大きな変化がなくなったこの終盤、レースを盛り上げたのは中団のポイント争い。SC導入中にタイヤ交換を行っていたジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)がフレッシュタイヤでペースを上げ、国本雄資(KCMG)、松下、大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、小林可夢偉(KCMG)らを抜いてポジションをどんどんと上げていった。

 34周目からは関口との9番手争いがヒートアップ。関口は時々挙動を乱しながらもアレジを押さえていたが、36周目に入った1コーナーでアレジが鋭くインを刺す。これで9番手に上がったアレジだったが、わずか4つ先の5コーナー手前でハーフスピン。これで一気に3つポジションを落としてしまった。

 リスタートを成功させてフェネストラズとの差を築いていた山本は、そのまま7周を盤石な走りで駆け抜けトップチェッカー。2020年の第5戦鈴鹿以来、2年ぶりの勝利を飾った。山本にとって、意外にもこれが地元もてぎでの初優勝。TCS NAKAJIMA RACINGとしても、2020年第6戦鈴鹿以来の優勝となった。2位にはフェネストラズ。平川がリタイアでノーポイントに終わったことから、フェネストラズが逆転してランキング2位に浮上した。3位に入った野尻は合計で104ポイントを手にし、フェネストラズとのポイント差は30ポイントとなっている。

2022スーパーフォーミュラ第7戦もてぎを制した山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)

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