「気づいたときには時間切れ」「再スタートと思って加速した」「とことん裏切られた」【SF Mix Voices 第7戦】

 全日本スーパーフォーミュラ選手権は8月20日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで第7戦の予選・決勝が行われた。2レース制の週末となった土曜日、朝の予選はドライコンディション、決勝ではグリッドから雨が降り出し、完全ウエットという展開へ。コースアウトやトラブル等も頻発する展開のなか、各車は天候とも戦っていた。

 決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、アクシデントに満ちた第7戦予選・決勝に挑んだドライバーたちの声をお届けする。

■大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING) 予選3番手/決勝リタイア

 予選で3番手を獲得し、セカンドロウからSFキャリア2勝目を狙った大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)。しかし、そんな大湯をマシントラブルが襲った。

「主にシフトのトラブルですね。3番手走行中にギヤが変わらないトラブルが起きました。いろいろと、ドライバーができる範囲でのギヤ関連の調整をやりつつ、なんとか走行することができたのですけど、それは応急処置でしかありませんでした」

「その後、またシフトが駄目になってしまい、ピットへ入るしかありませんでした。電気系に水が入ってしまったのが原因かと思います。その後、ガレージで故障箇所を交換して、コースに復帰できたって感じです」

「普段だったら対策とかいろいろできたのですけど、スタート直前に急に雨が降ってきたので時間が……。雨対策をする時間がなく、もちろんみんなに起こり得ることだとは思うのですけど、それがたまたま僕に起こってしまった。というふうに受け止めています」

 終盤のコースオフについても、シフトのトラブルの影響があったという大湯、降雨に翻弄された決勝ではペースを上げることができずに苦しんだという。

「山本選手は優勝もされましたし、終始安定したペースを出されていたと思います。でも、僕はそれが少しなかった。少しマシンがコントロール下になくて、ストレートを走るのもギリギリという感じでした」

 明日の決勝に向けて、大湯はまず「“予選番長”になれたらいいな」と語る。

「個人的には“練習番長”じゃないですけど、本当に専有走行は良い感触でした。“練習番長”から“予選番長”になれたらいいなという感じですかね。決勝のゴールにもこだわっていますけど、まずは速さにこだわって、ポールポジションを獲りたいです」

■三宅淳詞(TEAM GOH) 予選16番手/決勝リタイア

 その福住に追突してしまったのが三宅淳詞(TEAM GOH)だった。

「完全に僕のミスです。やはり雨量が多く、セーフティーカー中でも、もうぜんぜん前が見えない状態でした。そんななか、僕がヘアピンを立ち上がろうとしたときに前の車両がぱっと(前方へ)行きました。そのタイミングでチームからも『SCはこの周に入るよ』と連絡があったので、僕はてっきりもう再スタートしたのかなと思って加速してしまい……追突しました」

「福住選手には本当に申し訳ないです……。『だろう運転』ではないですけど、もっと気をつけてドライビングしないといけないなと……本当に思いました」

 追突した三宅の車両は、サスペンションが折れ、ウイングとホイールにダメージを受け、走行を続けることはできなかった。なお、福住へのSC中の追突により、三宅に対し訓戒のペナルティが判定されている。

 明日に向けて三宅は「やはりフォーミュラカーレースは上位からスタートしないと、なかなかオーバーテイクも難しいです。今回、僕は予選で後方に沈んでしまったので、明日はより“予選の一発”を目指して、上位からスタートしないといけないと思っています」と話した。

■小林可夢偉(KCMG) 予選14番手/決勝14位

「正直、すごくハマっている状態ですね」と口を開いた可夢偉。予選のQ1・B組では、7番手で惜しくも通過ならず。

「練習(金曜専有走行)の最後はいいかな、良くなったかな、と思ったんですけど、やっぱり予選になると『行き切れる』クルマになっていませんでした」

 グリッドで雨が降り出した決勝レースは、晴れると踏んでマシンを送り出していた。「セットアップも内圧も、全部乾いたときに行けるようにやっていたので、それも裏目に出てしまい、全然いいところがありませんでした」と可夢偉は振り返る。

 他のドライバーと同様、可夢偉もヘルメットバイザーの隙間から雨が浸水し、視界を奪われていたという。

「最初は(ブレーキングポイントの目安となる)看板の数字まで見えていたんですが、次第に数字が見えなくなって、今度は看板自体が見えなくなって。バイザーの間から水が入ってしまい、水の中で目を開けているみたいな状態で前が見えず、ブレーキがちょっと遅れて飛び出してしまったりして、もったいなかったですね。とはいえ、みんな一緒の条件でレースをしているので、いろいろなことの準備が、裏目に出たなという感じがします」

「もうそもそも(雨が)降る予定ではなくて、乾く予定だったところ、(最後は雨量も)逆に増えてきてしまうという、とことん裏切られた結果になってしまいました。非常にフラストレーションが溜まるレースになってしまいましたね」

2022スーパーフォーミュラ第7戦&第8戦もてぎ 小林可夢偉(KCMG)

■ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S) 予選18番手/決勝13位

 後方スタートとなったアレジは雨のなか、我慢の走りを続けるが、終盤のセーフティカー導入のタイミングでピットインを敢行し、タイヤを交換。フレッシュタイヤで上位進出を狙った。

「あの判断はすごく良かったと思う。ピットストップのタイミングもすごく良かったし、その後もペースよく走れた。ただ、最後にスピンをしてしまったのは、もったいなかった。僕も頑張ったし、チームもすごい頑張ったので、少しでもポイントはほしいなと思っていたから、ポイント圏内でフィニッシュできなくて残念だった」

「(関口雄飛とのバトルでは)多分、観ている人たちは興奮したかもしれないけど、ドライブしているこっちとしては、大変だった。すごい難しいバトルだったけど、最後は抜くことができてよかった。そのまま最後まで行きたかったから、本当に残念だよ」

 ドライの予選では、手応えもつかんでいたという。

「ドライに関してはポテンシャルがあると思っている。ただ、朝の予選ではトラフィックのせいでタイヤのウォーミングアップが全然できなくて、タイヤが冷えた状態でのアタックとなってしまった。そのせいでパフォーマンスを十分に出せなかった。でも、明日もう1回レースがあるので、頑張ります」

2022スーパーフォーミュラ第7戦&第8戦もてぎ ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
2022スーパーフォーミュラ第7戦&第8戦もてぎ 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
2022スーパーフォーミュラ第7戦&第8戦もてぎ 笹原右京(TEAM MUGEN)

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