「待ちわびていた」うらじゃ躍動 感染対策、心一つに“文化”守る

おかやま桃太郎まつりのフィナーレを飾った総おどり。踊り手と観衆がマスク姿で盛り上がった=岡山市・市役所筋

 岡山市中心部を舞台に3年ぶりに開催され、21日に最終日を迎えた「おかやま桃太郎まつり」。メインの「うらじゃおどり」の参加者らは、新型コロナウイルスの感染拡大に注意を払いながらも、コロナ禍で中止となった2021、20年の分まで取り戻そうとするかのように踊りに酔いしれ、にぎわいは夜まで続いた。

【写真館】桃太郎まつり

 午前中の下石井公園(同市北区幸町)。特設されたステージで演舞を披露した「渚」代表の斎部真志さん(29)=同市北区=は「この日をずっと待ちわびていた」。同じく「笑輝」代表の清水花さん(20)=同市北区=も「夢見てきた最高のステージ。最後まで笑顔で全てを出し切りたい」と力を込めた。

 同公園とイオンモール岡山(同下石井)には演舞場が設けられ、温羅(うら)のメークができるブースも設置された。大勢の若者らでにぎわい、昼過ぎに利用した同市立東山中1年の女子生徒(13)は「メークを決めて総おどりに参加するつもり」と笑顔で語った。

 夕方近く、歩行者天国となった市役所筋にはうらじゃの曲が大音量で響き渡り、踊り連のパレードが始まった。「歌え、踊れ、鬼祭り」―。今年参加した踊り連は52、約2500人と例年の半数以下にとどまったが、踊り手たちは汗を飛び散らせながら華やかな衣装をひるがえし、熱いパフォーマンスを繰り広げた。感染対策で従来より拡大された沿道の観覧ゾーンから拍手を送った主婦(45)=同市北区=は「人は多かったが、比較的ゆったりと応援できて良かった」と満足げに話した。

 日が暮れた午後7時半過ぎからは、2日間のまつりを締めくくりとなる総おどり。市民も飛び入りで踊り連のメンバーとともにマスクを着けて輪に加わった。終了が告げられるまでの約1時間、手をつなぐ代わりに心を一つに合わせ、貴重な夏の思い出を刻んだ。

 「うらじゃという文化を守れたことがうれしい」と「夜舞華志連」代表の福長香さん(39)=同市南区。「来年はコロナ禍が落ち着き、さらに派手に盛り上がりたい」と早くも次回のまつりに期待を寄せた。

市役所筋での踊り連のパレード。感染対策で車道の一部まで観覧ゾーンに拡大し、密集防止を図った

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