見えはじめたスーパーフォーミュラ次世代車両。2023年JAF車両規則でさらに細かいディテールも

 8月20日(土)、全日本スーパーフォーミュラ選手権が開催されていたモビリティリゾートもてぎで行われた、日本レースプロモーション(JRP)によるサタデーミーティングのなかで、JRPは開発が進められているスーパーフォーミュラ次期車両についてのイラストを公開した。また8月22日には、JAF日本自動車連盟が2023年国内競技車両規則を発表し、さらに細かいディテールが見えはじめた。

 スーパーフォーミュラでは、2022年から『SF NEXT 50』プロジェクトのなかで、次期車両の開発を進めており、エンターテインメント性の向上、カーボンニュートラルへの対応を目指し、各サーキットで開発車両によるテストを実施してきた。

 空力の改良によりオーバーテイクの機会を創出すること、魅力的なエンジンサウンドの創出など、走りの面に加え、ボディカウルに天然素材を使用すること、再生可能原料を活用したタイヤを導入すること、カーボンニュートラル燃料の使用など、時代のニーズに合わせたトライが行われており、これまでのテストで実走データを確認してきた。

「今回の目的はエンターテインメント面ではバトルができる空力、そしてボディ素材、タイヤ、燃料でのカーボンニュートラルへの取り組みを行ってきました。これまでのテストでいろいろなことが分かってきました」と永井洋治テクニカルアドバイザー。

 そして、これまで得られた知見をもとに、次回鈴鹿サーキットで行われるテストで、新たな空力パッケージをもつプロトタイプ車両でのテストが明らかにされた。「見たことがないくらいのデータが出ると思います。期待してください」と永井テクニカルアドバイザーは笑顔をみせた。

 そんな新たなプロトタイプについては、開発のラフスケッチがこのミーティングのなかで公開された。モノコック周辺、ノーズなどは大きく変わらないが、前後リヤウイング、カウルなどに形状の違いが見て取れる。

 さらにこの次期車両については、8月22日にJAFが発表した2023年JAF国内競技車両規則のなかで、2023年『第11章 スーパーフォーミュラ(SF)』車両規則として記され、細かい図面を見ることができる。車両寸法としてもリヤウイング幅は900mmから1,100mmに変更されているほか、フロントウイング翼端板は高さがやや下げられているなど、さまざまな箇所で細かく数値が変更されている。また図面で見る限りでは、リヤウイングやディフューザー、フロントウイングなど形状も変わっている。

 また、新たに『テレメトリーシステム』という項目が規則内に加えられたのも興味深いところ。「テレメトリーシステムとは走行中の車両から測定したデータをピット、もしくはその他の場所から相互通信により遠隔監視、操作ができるシステムのことをさし、車両供給者が供給するシステムのみ搭載が許される」という条文が加えられている。

 燃料についても、これまでは他シリーズ同様「一般市販燃料に限定」されていたものが、この文面がなくなった。カーボンニュートラル燃料への対応であることも分かる。

 ただし、サタデーミーティングでは「来年以降の最終仕様ではない」と語られていたほか、このJAF国内競技車両規則内でも「本項記載の数値については、年度途中に変更を行う可能性があることを予め通知します」とされている。2023年にこの仕様の車両が登場するのか、それともまたさらに別のかたちになるのかは、今後の開発などの動向を待たなければならないだろう。なお、鈴鹿での開発テストは観客エリアから走行を観ることもできるという。

2023年JAF国内競技車両規則のなかに記されたスーパーフォーミュラ車両規定の図面比較
2023年JAF国内競技車両規則のなかに記されたスーパーフォーミュラ車両規定の図面比較
2023年JAF国内競技車両規則のなかに記されたスーパーフォーミュラ車両規定の図面比較
2023年JAF国内競技車両規則のなかに記されたスーパーフォーミュラ車両規定の図面比較

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