「全数把握」見直し 広島県内から慎重意見も 感染 激増で医療ひっ迫

新型コロナです。政府は、医療機関や保健所の負担を減らすため、すべての感染者の情報を届け出る「全数把握」を見直す方針です。ただ、広島県内からはインフルエンザのような「定点把握」に切り替えることには慎重な意見も出ています。

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新型コロナに感染し、療養中の岸田総理。22日、オンラインで新型コロナによる医療ひっ迫を防ぐため、追加の負担軽減策を一両日中に示すと述べました。

政府は、医療機関や保健所の負担を減らすため、すべての新型コロナ感染者の情報を届け出る「全数把握」を見直す方針です。

ただ、広島県内からはインフルエンザのような特定の医療機関だけが報告する「定点把握」に切り替えることには慎重な意見も出ています。

広島市内のクリニックで新型コロナ患者の診療に当たっている医師は―。

三上内科医院 三上 裕一郎 院長
「確かに新型コロナの患者はまったく減っていないので、医療機関が疲弊しているのは確か。たとえばインフルエンザのように定点把握とするのは、ちょっと時期が早い気がする。まだ新型コロナは全容が解明されていない。インフルエンザと違い、有効な薬がないので、まだ同じ扱いをするのは無理と思う」

同様に患者の診療に当たっている拠点病院の医師も懸念を示しています。

広島市立舟入市民病院 高蓋 寿朗 院長
「(全数把握の)登録システムがあるおかげで実施できていた個々の患者の健康管理・宿泊療養や受診の調整といった行政が担当する支援がやりにくくなってしまう。個人的には患者が多い状況下では、急に定点把握に切り替えると混乱するのではと危惧する」

一方、広島県の湯崎知事は、23日のオンライン会見で「『全数把握』には感染を制御する意味合いもある」とし、「『定点把握』では感染制御が弱くなる恐れがある」と指摘しました。

広島県 湯崎 英彦 知事
「見直しにあたっては保健所・医療機関の負担軽減を図るということを中心に進めてもらいながら適切な医療につなげる、感染制御をしっかりとできるような検討を行っていただきたい」

政府は、医師が届け出る対象を高齢者や重症化リスクの高い人に限定する方向で検討していて、あす24日にも新たなコロナ対策について発表する見通しです。

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