ハンセン病療養所の建物保存訴え 岡山県問題対策協で入所者ら

療養所にある建造物の保全の必要性などを話し合った県ハンセン病問題協議会

 岡山県ハンセン病問題対策協議会が23日、岡山市内で開かれ、瀬戸内市の国立療養所・長島愛生園、邑久光明園の入所者らが、国の隔離政策による人権侵害などの歴史を後世に伝えるため、園内の建造物保存を急ぐ必要性などを訴えた。

 代理を含め委員12人が出席。県の担当者が本年度の啓発事業として、県内の小中学校に入所者が出向いて行う講演会や県庁でのパネル展などを説明した。

 委員からは啓発のために建造物の保存が重要との声が相次ぎ、岡山弁護士会の則武透弁護士は、光明園で子どもの生活の場だった旧少年少女舎など隔離を象徴する建造物が「朽ちようとしている」と指摘。同協議会長の桑原敏典・岡山大教授は「失われると二度と取り戻せない」、光明園入所者自治会の屋猛司会長(80)も「人権教育の場としてほしい」と訴えた。

 県が国に対して歴史的な建造物を保全し活用するよう要望していることに関して、愛生園入所者自治会の中尾伸治会長(88)は「保全には国だけでなく、地元自治体の協力も必要だ」と述べた。

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