栃木県南に臨時医療施設増設へ BA・5対策強化宣言延長「見極める」 新型コロナ

栃木県庁

 福田富一(ふくだとみかず)知事は23日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染拡大で医療提供体制が危機的状況となっていることを受け、感染第7波以降で県内3カ所目となる臨時医療施設を県南地区に開設する方針を明らかにした。県南では2カ所目となる。お盆明け以降も新規感染者数の高止まりが続く中、1週間後の31日を期限とする県のBA・5対策強化宣言の期間延長については「もう少し(状況を)見極めて判断したい」と述べた。

 新たな臨時医療施設の病床数や開設時期などは調整中。県央地区に続き、県南では17日から同施設(50床)の運用が始まったばかりだが、県南の感染者数の多さや病床数などを踏まえて増設を決めた。

 発熱外来の逼迫(ひっぱく)を回避するための検査キット配布事業では、延べ428医療機関が協力し、県は計約10万個のキットを配布した。

 同事業は、医療機関を受診して陽性が判明した患者に対し、同居家族分のキットを渡してもらう。県内でコロナの診察・検査に当たる医療機関は670あり、半数超で家族分のキット配布が始まったとみられる。

 第7波に入った7月以降、病院を含む県内の医療機関では計25件のクラスター(感染者集団)が発生。わずか2カ月弱で、上半期(1~6月)の計30件に迫るペースで頻発している。

 一方、入院中のコロナ患者のうち、21日時点で60歳以上は81.7%を占め、7月31日時点(76.1%)に比べ5.6ポイント増加した。重症化しやすい高齢者の感染増加が医療機関の負担につながっており、福田知事は「土俵際の状況にある」と危機感を示した。

 BA・5対策強化宣言については「県民の行動変容につながるなど一定の効果があった」とし、お盆明けに感染者が急増していない点などを根拠に挙げた。

 政府が24日にも発表するコロナ感染者の全数把握の見直しを巡っては、保健所の負担が軽減され「重症化リスクの高い人にさらに重点的に対応できるようになる」と賛意を示した。一方で混乱も予想されるとして「地方の意見も取り入れ、国民に丁寧な説明をお願いしたい」と求めた。

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