コロナ全数把握見直し、福井県知事「実情反映、一歩進んだ」 政府方針、県医師会も理解示す

 政府は8月24日、新型コロナウイルス感染者の全数把握見直しに関し、全国一律ではなく各自治体の判断で行う方針を決めた。医療現場に配慮し、発熱外来が逼迫した地域での緊急措置とする。首相は感染者の把握に関し「自治体の判断で届け出の範囲を高齢者らに限定することを可能とする」と説明した。

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 新型コロナウイルス感染者の届け出を、自治体の判断で高齢者らに限定できるようにする政府の方針に対し、福井県の杉本達治知事は「各地域の実情に合わせて選択できるような状況をつくってほしいと申し上げていた。検討が一歩進んだ」と評価した。

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 杉本知事は全数把握の仕組みについて、「流行第7波の収束を待たず、早急に見直すべきだ」としていた。現時点で、届け出を絞る場合の基準や対象外となる感染者への対応などが不明確なため、県対策チームの担当者は「国の通知内容を精査し、(考え方などを)見極めた上で対応を検討する」と述べた。

 福井県医師会の池端幸彦会長も「地域によって対応や診療体制が異なる部分もある。地域の実情に合った合理的な判断ができるのではないか」と、政府の方針に理解を示した。

 コロナによる県内の入院患者の約8割を高齢者が占める。高齢者施設でのクラスター(感染者集団)も相次ぎ、死者数は増加している。池端会長は「全数把握の見直しによって保健所や外来の負担は軽減されるが、入院医療機関の逼迫状況が解決するわけではない」と指摘。見直しがコロナ軽視につながらないような対応を求めた。

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