<南風>将来の夢

 実家は、家庭調査票の家族構成欄に記入できないほどの大家族だ。共働きだった両親の代わりに祖母が一緒にいてくれたが病気がちで入退院が多く、それでも家にいるときは添い寝をしてくれた。祖母の細い足に自分の足を絡めてスリスリするのが大好きだったが、痛い!とよく怒られた。いわゆるおばあちゃん子だ。

 一緒にいたくて入院中の祖母に付き添ったり、他人のこともしたがったりするおせっかいな子どもだったので、将来は看護師か福祉関係の仕事に就くと思っていた。だが注射が嫌いなことやおせっかいをやくことで他人のことを優先し自分が後回しになると自己嫌悪に陥るなどしているうちに自分に合っている仕事なのか疑問になっていった。

 占いでは向いている職業はCAかコンピューター関連とあり、タイプを打っていた母の姿も相まってバリバリ働いているOLのような自分を想像することもあった。進学も考えたが独り立ちしたい思いが強く、就職先をコンピューター関連の会社に定め、社会人としての第一歩は情報処理系の会社に就くことができた。

 同期や上司に支えられ仕事の達成感や人との関わり合いを学び、社会人としての土台を作ってくれた場所だ。現職場ではHP制作・会計経理・人事労務・他雑用と畑違いの仕事をすることになったが目の前にある仕事を精いっぱいにやることでたくさんのできないができるに変わっていく。その達成感は充実感に変わり、ワクワクした気分になった。

 子どもの頃は、仕事を創造することでおばあちゃんに喜んでもらいたいと思っていたが、社会人となって親に楽をさせたいと考えるようになり、現在の仕事をすることで子どもたちを幸せにすると決めた。今の立ち位置の私には会社の理念に向かって尽力し、関わる全ての人を笑顔にしたいという夢がある。

(澤岻千秋、御菓子御殿専務取締役)

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