全15台が約1秒差の超接戦Q1「めっちゃショックで落ち込んでいます」不可解な感触に嘆くドライバーたち【第5戦鈴鹿GT500予選】

 スーパーGT第5戦鈴鹿、GT500の予選Q1はかつてない僅差のタイムバトルとなった。Q1トップタイムの16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(1分45秒219)から最後尾までの15台がわずか約1秒差、予選Q1のクリアタイムはトップから0.6秒差という超接近戦となったのだ。3メーカーのクルマの開発、4メーカーのタイヤ開発が極めて近いところで並び、サクセスウエイト(SW)も効果的に作用していることが考えられるが、惜しくもQ1突破を逃してしまったドライバーたちを中心に、その感触を聞いた。

 接戦となった予選Q1で、まず驚かされた1台が、8号車ARTA NSX-GTのQ1敗退だ。SWが4kgしか違わない17号車Astemo NSX-GTが結果的に2番手になっていることを考えると、8号車の予選10番手は不可解だった。

「アタック自体は大きなミスもなかったのですけど、クルマのセットアップとかタイヤ選択とか、全体的にパフォーマンス不足な予選だったと思っています」とQ1を振り返る8号車の福住仁嶺。

「今日の朝は気温があまり上がっていなくて、路面ができていない走り始めの走行としてはタイムは悪くはなかったのですけど、そこから気温や路面コンディションが変わって行った時、GT500の専有走行の時にも野尻(智紀)さんが行ってもタイムがあまり伸ばせず、伸び悩むような感じになりました。予選Q1に向けて少しアジャストして僕がQ1担当して行きましたけど、ほとんど朝の状態から変化がなくて、もう少し詰められるところはあったのかなと」。8号車はいい手応えを得られないまま、予選日を終えることになってしまった。

 同じく、予選Q1で不可解なのが、前回の富士で2位に入り、好調さを取り戻していた12号車カルソニック IMPUL Zの最後尾というリザルトだ。何かトラブル、またはトラックリミッド違反などがあったのかと勘ぐったが、どうやらそうではないようだ。予選Q1を担当した平峰一貴が話す。

「自分的には全然、ミスもしていなくて『Q2に行っただろう!』と思っていたくらいです」と、平峰にとってもQ1敗退は驚きだった。

「クルマのフィーリングもパーフェクトではないですけど、よかった。アタックを終えていつもなら『Q1通ったよ』とか無線が入るのですが、何もなくて。アタック終えた時は9番手だったんですけど、そこからどんどん順位が落ちていった。めっちゃショックで落ち込んでいます。何が足りなかったのか、今、原因を調べてもらっています」。富士の好調さから一転してしまったが、決勝でどこまで巻き返せるか。

 64号車Modulo NSX-GTもまた、予選Q1敗退で驚かされた1台だ。同じダンロップの16号車Red Bull NSX-GTがQ1トップタイムをマークしているだけに、64号車の13番手は不可解だったが、アタックを担当した伊沢拓也に聞いて、一番の原因は判明した。

「もともとクルマのスピードが足りていなかったなかで、アタックの時は(NISSINブレーキ)ヘアピンからずっと前のクルマに引っ掛かってしまって、譲ってくれませんでした。そこのロスがありました」と伊沢。16号車とのギャップも大きいまま、予選を終えることになった。

「Q2に行ける可能性はあったかなと思いますけど、いずれにしても今日は朝から16号車のような速さがありませんでしたね」。今回のタイヤ選択は16号車と64号車とでほとんど変わらないようなので、2台の違いが気になるところだ。

 予選Q2でも、4戦連続のポールポジションを目指していた19号車WedsSport ADVAN GRスープラのアタックが4番手止まりの結果に。決して悪くはないグリッドだが、期待が高かっただけに悔しい結果とも言える。予選Q2を担当した国本雄資に聞く。

「Q1で(阪口)晴南君が計測3周目にアタックにいって、僕は2周目に内圧とかを合わせてアタックに行ったのですけど、ちょっとウォームアップとか合わせ切れずに完璧ではありませんでした。もう少し合わせきれたかなというのもありますし、クルマはあまりいいフィーリングではありませんでしたね」と国本。

 映像では130Rでフロアを擦っているかのように白煙が上がっていたが「そうかもしれないですけど、どちらかというともっと車高を下げたいくらいに感じました(苦笑)」と、まだまだクルマのセットアップに課題があるようだ。

 気温か路面コンディションの影響か、フィーリングが良かったのにタイムがついてこない/理由がわからないなど、多くのドライバーがクエッションを抱えたまま終えることになった今回の第5戦鈴鹿の予選。それでも終わってみれば、トップから4台のタイヤがミシュランーブリヂストンーダンロップーヨコハマと、4メーカーが分け合う形になり、昨今のタイヤ競争の激しさが如実に表れた結果となった。

 450kmの決勝レース、前回の第3戦を振り返るとFCY(フルコースイエロー)やSC(セーフティカー)が何度も導入され、今回も荒れた展開が予想されるが、最後にトップチェッカーを受けるチーム、そしてタイヤメーカーはどこになるのか。予選結果との違いにも注目して見てみたい。

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