コロナ第7波中の学校再開 学校祭準備で集団感染、広がる警戒感…それでも「学び止めない」

9月上旬の文化祭に向け、クラス発表の準備を進める生徒たち=8月26日、福井県福井市の足羽高校

 新型コロナウイルスの流行「第7波」が続く中、福井県内の多くの小中高校で夏休み明けの授業が8月29日、再開する。一部の高校で学校祭の準備中に集団感染が起きるなど警戒感が広がるものの、各校長は「長引くコロナ禍の中で学びを止めないことが大切」と強調。対策を練りながら授業や行事の準備を進めている。

 「本番が楽しみ」。9月3~5日に学校祭を開く福井市の足羽高校では8月26日、生徒の準備が大詰めを迎えていた。

 学校祭の準備を巡り、越前市や坂井市の高校で生徒の集団感染が判明。越前市の高校は9月中旬にある就職選考を見据え、学校祭の延期を決めた。

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 こうした中、足羽高校では感染防止策を徹底した上で学校祭を開く方針だ。食事中の感染リスクが高いとみて、生徒の準備は原則として午前中に制限。9月3日の体育祭は種目数を絞って午前中だけとし、保護者の来場も控えてもらう。山本寛校長は「生徒たちの大切なイベントを何とかやらせてあげたい」と話した。

 学校で感染者が出た際の対応は、感染力の強い「オミクロン株」が流行し始めた今年1月から大きく変わった。当時は児童生徒の陽性が確認されたら保健所が一人一人の行動歴を調べ、クラス内の濃厚接触者も自宅待機を指示された。その後、国の指針が変わり、濃厚接触者の特定は同居家族に限定。児童生徒に陽性者が出ても行動歴を追うことはなくなり、学級閉鎖数は大幅に減少した。

 文部科学省は今月19日付で都道府県教委向けに通知を出し、学級閉鎖の基準を変更。クラス内で複数の児童生徒が陽性となっても、家庭内感染が明らかな場合などは閉鎖や休校は必要ないとした。夏休み明けの授業再開が念頭にある。

 「これまで以上に、ある意味でコロナと共存した学校運営が必要になる」と福井市内の小学校長は話す。この学校では、校外学習はあらかじめ予備日を設定。担任が感染した際は、教務主任ら担任を持たない教員がカバーする体制を整える。ある県立高では定期試験の欠席を想定し、テストの代わりに学習姿勢や普段の授業の習熟度で成績を付ける評価システムを整えた。校長は「気を引き締めて臨む」と授業再開を見据える。

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