初の障スポ「メダル狙う」 県勢最年少、陸上に出場 真岡東中・杉田奏斗さん

体育館で仲間たちと練習に汗を流す杉田さん=26日夜、真岡市大谷台町

 10月の第22回全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」の開幕まで29日で2カ月となる。個人・団体合わせて約300人の県勢選手の中で最年少となるのが、知的障害者の陸上競技に出場予定の真岡市荒町、真岡東中2年杉田奏斗(すぎたかなと)さん(14)だ。出場を希望する100メートルで「自己ベストを更新してメダルを取りたい」と意気込む。二人三脚で支える母晶子(しょうこ)さん(38)や指導者らの応援を力に、初の大舞台を迎える。

 26日夜、同市内の体育館。杉田さんは小学生時代から通うスポーツ教室に参加し、ミニハードルなどの基礎練習に汗を流した。指導を担う稲川奈緒(いながわなお)さん(25)は「走ることがとにかく大好き。実力は確実に上がっている」と目を細める。

 杉田さんは小学6年のころに発達障害の一つの「注意欠陥多動性障害(ADHD)」と診断された。人の話を覚えることなどは少し苦手だが、人懐っこい性格で友人も多い。

 陸上を始めたのは小学3年の秋。スポーツ教室の体験会に参加し、「体を動かす楽しさ」を知った。陸上を中心にサッカーやバレーボールなど、さまざまな競技を月2回楽しんでいる。

 中学校は特別支援学校ではなく、「小学校の友だちがいるから」と地元の真岡東中の特別支援学級へ進んだ。部活動は吹奏楽部。大型の低音金管楽器「チューバ」を担当している。

 障害者のスポーツ大会には出場経験がない。芳賀郡市の陸上競技会など、一般の大会に出場して経験を積み、成長し続けてきた。

 出場種目はまだ決まっていないが、短距離が得意種目だ。100メートルの自己ベストは13秒08で、出場がかなえば「12秒台でメダルを取りたい」と意気込む。

 ただ、出場区分は13~19歳の「少年の部」のため、体格に勝る年上との戦いも予想される。それでも県障害者スポーツ協会の小金沢茂(こがねざわしげる)さん(54)は「高校生や社会人と同じ土俵で戦う実力がある」。同校の小林利之(こばやしとしゆき)校長(58)も「壮行会を予定しており学校を挙げて応援したい」とエールを送る。

 母子家庭で一人息子を育てる晶子さんは、楽器販売の営業と深夜のファミリーレストラン勤務のダブルワークで夢を後押しする。「陸上も音楽も自分らしく楽しんでほしい」と願う。

 近づく夢の舞台。杉田さんは「全国に友だちをつくりたい」と目を輝かせ、「応援してくれる人のために全力で頑張る」と誓った。

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