BA・5対策強化宣言9月まで延長 全数把握は当面継続 栃木県方針

県庁

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを受け、栃木県は29日、今月末が期限となっている「BA・5対策強化宣言」を9月末まで延長する方針を固めた。30日に対策本部会議を開いて正式に決定する。感染者の全数把握は当面続ける一方、将来的な見直しを含め、今後の在り方を対策本部会議で協議する。

 感染急拡大に伴い県は5日、政府が新設した同宣言を発令。高齢者や持病のある人に混雑した場所などへの外出自粛を要請している。

 県内では発令後も1日当たりの新規感染者数が2千人を超える日が続き、病床使用率も21日に64.1%に達し過去最高となった。28日時点の病床使用率は50.1%と依然として高く、医療体制の厳しさが継続しているため、県は宣言延長が必要と判断した。

 また、発熱外来の負担軽減のため、20〜40代の有症状者に無料配布している抗原定性検査キットの対象年齢を拡大する方針。

 全数把握の見直しについて政府は24日、自治体の判断で感染者の届け出の範囲を高齢者らに限定できるようにすると公表した。政府方針について福田富一(ふくだとみかず)知事は「容体急変の際など今のままでは課題が発生する可能性が高い。全国一律の対応をすべきであり、制度設計がなされていないのは問題がある」と指摘。

 一方で医療機関の負担が増加している現状を踏まえ「有識者の意見も確認した上で、早急に案を取りまとめたい」との考えを示していた。

 全数把握を見直した際に生じる課題の解決策がまとまらず、県は29日が締め切りだった厚生労働省への見直しの申請を見送った。

 当面は全数把握を続けるが、現場からは「見直しが必要」との意見も上がっているという。

 国が全国一律に見直す方向で検討していることもあり、県は有識者の意見や隣接県の動向、今後の政府対応などを注視しながら、感染状況を把握する手法を決めるとみられる。

 

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