高級車盗に新手口、特殊機器使い操作 神奈川県警が警鐘

県警が初めて押収した「CANインベーダー」=南署

 高級車を狙った自動車盗で「CANインベーダー」と呼ばれる特殊な機器を使った新たな手口に県警が警戒を強めている。同機器を車につなぎ、制御システムを不正に操作してエンジンを始動させて盗むという。県内でも高級車を盗んだとして逮捕、起訴された男2人が使っていた。県警は「昨年から全国で主流な手口になっていて、注意が必要」と警鐘を鳴らす。

 今年7月までに、横浜市内で自動車盗を繰り返したとして、窃盗の疑いで、同市中区三吉町に住む無職の被告(50)=窃盗罪で公判中=ら男2人が、逮捕、起訴された。

 2人は共謀して昨年12月14日、同市西区の有料駐車場で高級ワゴン車(約450万円相当)を盗んだほか、同19日にも同市泉区のアパート敷地内で高級ワゴン車(約500万円相当)を盗んだとされる。

 県警による家宅捜索で被告の自宅から、手のひら大のモバイルバッテリー型の機器が押収された。これが「CANインベーダー」だった。名称には、車の動きを制御する車載ネットワーク(CAN)を乗っ取る侵入者(インベーダー)との意味がある。

 同機器を使った自動車盗の手口はシンプルだ。車のフロント部分の配線を専用の電気ケーブルで接続し、本体の機器で操作する。わずか数分で簡単にドアを開錠したり、エンジンをかけたりすることができてしまう。当然、市販はしておらず、県警は同機器の入手ルートも調べている。

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