開園以来、度々の経営難 コロナ禍でHIS業績悪化…ハウステンボスの変遷

エイチ・アイ・エスが売却を発表したハウステンボス=30日、佐世保市

 ハウステンボス(HTB、長崎県佐世保市)は開園以来、度々経営難に見舞われ、経営が代わってきた。旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の支援を受け、経営は安定したが、新型コロナウイルスの感染拡大でそのHIS本体の業績が悪化したため、投資会社に売却されることになった。
 HTBは中世オランダの街並みなどを再現したテーマパークとして、1992年3月25日にオープン。県が造成した旧針尾工業団地(総面積152ヘクタール)に2千億円超を投じて開発された。
 景気低迷に加え、初期投資が経営を圧迫し、2003年に会社更生法の適用を申請。負債総額は2289億円に上った。野村プリンシパル・ファイナンスの経営を経て、10年にHISが20億円を出資して支援。その際、九州電力など九州財界5社も計10億円を出資した。
 HIS創業者の澤田秀雄氏がHTB社長に就任。経費削減を徹底する一方、閑散期だった冬場に園内をイルミネーションで彩る「光の王国」や人気アニメの海賊船を再現したクルーズなど次々に斬新なイベントを企画した。11年9月期決算で、開業後初の黒字化に転換し、V字回復を果たした。佐世保市は10年度から4年半、総額36億円の再生支援金を交付した。
 澤田氏は19年、社長を退任し、最高人事責任者だった坂口克彦氏が新社長に就任した。新型コロナウイルスの感染拡大により、入場者数は大きく落ち込んだが、クリスマスなど季節ごとのイベントを強化し、業績は回復。22年3月中間連結決算は、営業利益が3億9200万円となり、中間決算としては3年ぶりの黒字となった。
 HTBを巡っては、県がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を目指し、4月に整備計画を国に申請。国が認定するかどうか注目されており、その結果が今後のHTBの運営にも大きく影響しそうだ。


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