“長崎らしさ”感じる新作 「きらきらさがし」発刊 佐世保の童話作家・新井さん

「絵本の長崎弁での執筆は初めてです」と話す新井さん=佐世保市内

 長崎県佐世保市白岳町の童話作家、新井悦子さん(53)が、長崎を舞台に、家族と過ごす日常の中にある小さな輝き探しをする絵本「きらきらさがし」を岩崎書店(東京)から出版した。新井さんは「方言で書いているので、絵や言葉から長崎を感じて、共感してもらえたらうれしい」と話す。
 新井さんは同市出身。高校生の頃に絵本の編集に携わりたいとの夢を持ち、筑波大卒業後にベネッセコーポレーションに入社。6年半編集などに携わった。結婚、出産後の2000年ごろに帰郷し、自宅で執筆活動を開始。これまで保育の月刊誌に童話が100回以上掲載され、絵本も5冊刊行している。執筆では、家族設定など読み聞かせる親がどう感じるか、重荷にならないかを意識しており、「絵本もマスメディア。時代に合った家族の在り方を心がけている」という。
 本書を執筆したのは、当時高校2年生の次男と向き合う中で、「愛情を注ぐだけでなく、1人の人間として頑張っていることを認める必要もあるんだ」と気づいたのがきっかけ。母親である自分も含め、誰しもが認められたいのだとの思いにも改めて至り、夢中でつづって1時間程度で書き上げたという。
 本書は小学1年生の主人公あっちゃんが、お父さんの日焼けのあと、おばあちゃんの間違いだらけのメールなど、それぞれのがんばった証「きらきらじるし」を探す。絵はさこももみさんが担当し、浦上の町並みや、三川内焼の器、かぎしっぽの猫など、随所に“長崎らしさ”が優しいタッチのイラストで盛り込まれている。新井さんは「読んで楽しんでもらって、その後日常の中にある“きらきら”を互いに見つけあってもらえたら」と話した。
 32ページ、オールカラー。定価1400円(税別)。全国の書店やアマゾンなどで購入できる。問い合わせは岩崎書店営業(電03.3812.9131)。


© 株式会社長崎新聞社