トヨタのコンウェイ、“LMDh掛け持ち”は可夢偉と同様に困難か。来季IMSAでは別クラス参戦も視野

 WEC世界耐久選手権でトヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッドをドライブしているマイク・コンウェイは、近年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の長距離レースである『ミシュラン・エンデュランス・カップ』戦では、キャデラック陣営のアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)に追加ドライバーとして参加してきた。

 2023年、キャデラックは新型LMDh車両でIMSAのGTPクラス、およびWECのハイパーカークラスに参戦する。コンウェイは来季のIMSAに参戦する計画は現在のところない、としているものの、LMP2またはGTカテゴリーで長距離イベントを走る可能性はあると述べている。

 コンウェイは、同じくWECのトヨタドライバーで、IMSAの長距離戦ではアクション・エクスプレス(アリー・キャデラック)のキャデラックDPi-V.Rを駆る小林可夢偉と同じ状況に直面しており、来季キャデラック・レーシング傘下で完全ファクトリー化されるAXRのドライバーラインアップに留まる可能性は低い。

 コンウェイは2017年からスポットでAXRのラインアップに加わり、デイトナ24時間、セブリング12時間、プチ・ル・マンなどのレースに参戦してきた。今季最終戦となる10月1日のロード・アトランタ(プチ・ル・マン)にも、ピポ・デラーニ/オリビエ・プラ組に加わり31号車キャデラックをドライブする予定だ。

サードドライバーにマイク・コンウェイを迎えたセブリング12時間では表彰台を獲得していたAXR31号車。右端はシーズン途中でチームを離脱したトリスタン・ヌネス。

「アメリカのレースは本当に好きなんだ」と、コンウェイはSportscar365に語った。

「耐久レースは本当に楽しいよ。来年(のGTP)はもっと大変な戦いになるんだろうね」

「僕には今のところ(2023年の)具体的な参戦計画はないけど、(LMDhの)マニュファクチャラーが4レースだけ、あるいはデイトナ1レースだけだとしても、参加を許可するのは難しい状況だろう。みんなが新車になるから、彼らは秘密を漏らしたくないし、その秘密が僕らを通じてトヨタに渡るのも嫌がるだろう」

「いまのところ、来年についての話し合いはしていない。僕が(GTPで)乗れる車があるだろうか。そうでなければ、LMP2かGTという選択肢は常にある。GTPで何もできなくても、他のクラスで何かできるといいんだけどね」

 このように、コンウェイはGTクラスへの参戦も視野に入れている。今季のカナディアン・タイヤ・モータースポーツ・パーク(モスポート)戦では、ジャック・ホークスワースの代役として可夢偉がバッサー・サリバンのレクサスRC F GT3をドライブした。この例のように、コンウェイも姉妹ブランドであるレクサスからGTDプロ、あるいはGTDクラスへと参戦する可能性が出てきたのである。

IMSA第8戦に急遽代役出場、レクサスRC GT3をドライブした小林可夢偉

 なお、バッサー・サリバンとレクサスは、来季のフル参戦ドライバーも、エンデュランス・カップにおける追加ドライマーも発表していない。

「僕はGTの経験がないから、プロトタイプに留まりたいかもしれない。正直なところ、いまの僕はオープンな立場だ」とコンウェイ。

「GTは楽しそうに見える。新しいことに挑戦するのも、僕は好きだしね」

「まだ時期尚早だけど、来年もアメリカで何かしらのレースをしたい。スポーツカーの世界は全般的に上向きの雰囲気だし、そこ(アメリカ・IMSA)にいるにはいいタイミングだと思うんだ」

ベン・バーニコート/小林可夢偉組のレクサスRC F GT3(バッサー・サリバン)
アクション・エクスプレス・レーシングが走らせる31号車キャデラックDPi-V.R

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