感染管理エキスパートを独自認定 看護師40人 岡山県と協会が育成

感染管理エキスパートナースの育成研修を受ける看護師ら=7月下旬、県看護会館

 新型コロナウイルス禍が続く中、岡山県と県看護協会(岡山市北区兵団)は、感染対策に通じた看護師を独自に認定する「感染管理エキスパートナース」の育成研修をスタート、今夏、1期生となる40人を認定した。習得したノウハウを活用し、各職場でクラスター(感染者集団)の予防や発生時の対応に率先して取り組んでもらう。

 感染症分野に関しては日本看護協会(東京)が認定する「感染管理認定看護師」がいるが、専門高度な知識や実務経験が求められ、資格取得には通常、年単位の期間が必要となる。県看護協会によると、県内全体でも37人、県北部に至ってはわずか2人しかおらず、コロナ対策を推進する人材育成・確保を狙いに県と同協会が連携して短期間の独自制度を設けることにした。

 第1期生の研修は5~7月の計7日間、トータル42時間のスケジュールで実施。県内医療機関の看護師らが受講し、感染予防・管理に詳しい医師や看護師から医療器具の適切な取り扱い方やクラスター対策、院内感染の調査手法などについて座学と実習で学んだ。

 7月下旬に県看護会館(岡山市北区兵団)であった研修最終日には、目への体液飛散を防ぐアイガード装着といった自らの職場環境を踏まえた対策をそれぞれまとめ、発表した。受講した岡山博愛会病院(同市中区江崎)の病棟副師長(37)は「コロナ禍で感染対策の知識が未熟だと痛感していたところ。学んだ知識と技術を職場に還元したい」と話した。

 来年1月には第2期生の研修をスタートする予定で、2022~24年の3年間で計120人の感染管理エキスパートナース育成を目指す。県看護協会は「新型コロナの流行『第7波』で連日大勢の感染者が確認されており、医療や福祉施設の機能維持のためには感染対策の強化が喫緊の課題。地域全体の対応力の底上げを急ぎたい」としている。

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