はだしの迷子男児を保護 横浜・鶴見区の女性に感謝状 かつての経験生かし機転

片山署長(左)から感謝状を受け取った猪田さん=8月31日、鶴見署

 迷子の幼児を保護して交番へ送り届けたとして、鶴見署は8月31日、横浜市鶴見区、理学療法士猪田佐和乃さん(50)に感謝状を贈った。

 猪田さんは同4日午後5時ごろ、同区下末吉3丁目の歩道で、はだしで歩いていた男児(3)を見付け、抱きかかえて近くの交番に送り届けたという。

 猪田さんによると、男児は泣くことなく不安げな様子もなかったことから、「『迷子』という感じではなかった」という。「家はどこ?」「お母さんは?」と声をかけても返事をしてもらえず、困った。ただ、歩く方向には国道1号があり、猪田さんは交通事故を心配して後をつけた。

 男児は国道にかかる歩道橋を自分で渡って行ったが、猪田さんは男児を抱きかかえ、近くの交番に送り届けた。「事故に遭う前に助けられて良かった」と対応を振り返り安堵した。

 猪田さんが思い切った行動に出たのには、かつて自分の息子が迷子なったという経験があったからだった。現在は中学生になる長男が、当時4歳のときのことだった。花火大会で一時、行方が分からなくなってしまった。ただ、その時の長男も自分では迷子になったという意識がなく平然とした様子だったのだ。

 「息子のときの経験がなければ見過ごしてしまったかもしれない」とほっとした様子で話した。

 片山真署長は、「保護されなければ、事故に遭ったかもしれない。思いやりのある行動が子どもを救った」と感謝を伝えた。

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