コロナ禍でこころの相談増加 LINE活用し、月200件以上に 栃木県

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、栃木県が2020年5月に始めたLINE(ライン)を活用した相談事業で、今年7月末までの対応件数が7225件に上ったことが3日までに、県障害福祉課のまとめで分かった。21年度以降は特に増加し、毎月200件以上の相談に応じている。コロナ禍での精神的な不安や仕事、家族間での悩みが多く、交流サイト(SNS)になじみのある20代の利用が目立った。

 相談は県のラインアカウント「こころの相談@とちぎ」を友達登録しメッセージを送ると、臨床心理士ら相談員とやりとりができる仕組み。開設当初は60日間の運用の予定だったが、相談が相次ぐ状況が続き延長した。

 同課は「互いの顔が見えないラインだからこそ、気軽に相談しやすい面もあるのではないか」と分析する。

 20年度の相談対応件数は1858件で、21年度は3897件と倍増した。22年度は4〜7月で1470件。月別で最も相談が多かったのは、感染流行の第6波に当たる今年1月で538件。相談者を年代別に見ると、20代が全体の約3割を占め最多だった。次いで40代24.1%、30代18.1%。

 相談内容(重複あり)は、不安が強い、精神が不安定などの「メンタル不調」が2468件(22%)で最も多かった。次いでコロナ禍における給料や就職の不安などの「勤務」が1555件(14%)。夫婦間や親子間の悩みなどの「家族」に関する相談も1462件(13%)と多かった。相談の中には、自死の可能性があり警察に通報したケースもあったという。

 県は相談事業をより広く知ってもらうため、ラインアカウントのQRコードを載せたカードを作製し、大学や病院、ハローワークなどに配布している。本年度中は相談事業を続ける予定で、以降は状況を見て判断する。

 同課は「コロナ禍のストレスは予想以上。不安なことがあれば相談してほしい」と呼びかけている。

© 株式会社下野新聞社