安倍晋三元首相の国葬の企画・演出業務について、国の行った入札に参加した会社が、落札した都内のイベント会社「ムラヤマ」1社だったことが5日明らかになった。松野博一官房長官が定例会見で説明した。「特定の業者に便宜を図るなどの事実は一切ない」としている。
説明などによると落札額は1億7600万円。「落札は適正に行われたのか」との問いに長官は「所定の手続きの下で実施した一般競争入札でムラヤマ1社から入札があり落札が決まった」とし、「同社と事前の個別打ち合わせはしていない」と公正性を強調した。
イベント関係者によると、ムラヤマは「大喪の礼」を手掛けるなど要人対応などの専門的なノウハウを持つという。中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬も担当。安倍元首相が主催した「桜を見る会」の設営なども5年連続で受注しているという。
このうち2020年の「見る会」では入札前に同社と内閣府が打ち合わせを持っていたことが野党ヒアリングで発覚し、批判を浴びた。
同社の落札を巡っては岸田文雄首相も4日、出張先の新潟県での記者対応で「適正な手続きに基づいて行われた」と述べている。